謎だらけのアートワークを徹底解剖! カラスは真っ白×植草航×渡部謙介

カラスは真っ白の新作ミニアルバム『HIMITSU』は、そのタイトル通り「秘密」というひとつのコンセプトから音楽、映像、アートワークがこれでもかというほど広がり、もはや謎解きの域に達するほど至るところに「秘密」が隠された総合芸術的な作品だ。その制作の裏側は、聞けば聞くほど「なるほど!」と手を叩きたくなるような話ばかり。今回はメンバー四人に加え、前作『おんそくメリーゴーランド』の“fake!fake!”に続いてMV制作を手掛けたイラスト・アニメーション作家の植草航、バンド結成当初からアートワークを手掛けてきたデザイナーの渡部謙介にも参加してもらい、仕掛け満載のMVやジャケットについても、たっぷり語ってもらった。

インタビュー・テキスト:タナカヒロシ 撮影:柏井万作(2015/1/19)

いままではいろいろなことをやりすぎて、それをまとめるためのコンセプトだったんですけど、今回は先に大きいくくりのコンセプトを作ってから曲を作っていく形にしたんです。(シミズ)

— 前作『おんそくメリーゴーランド』はかなり話題になったと思うんですけど、反響はいかがでした?

シミズ(Gt&MC):特に植草さんにMVを手掛けてもらった“fake!fake!”を評価してもらって、本当にお客さんの層が広がりました。僕らのパフォーマンス自体も進化しているとは思うんですけど、お客さんが増えたことでライブの空気も変わってきて、すごく楽しいです。

— “fake!fake!”のMVは、YouTubeとVimeoで合わせて50万回近く再生されてましたよね。Vimeoでは「STAFF PICK」(スタッフが厳選した動画を紹介するコーナー)にも選出されて。以前インタビューしたときは、MVを見て覚えてもらって、サビの「fake! fake!」の部分をお客さんに一緒に歌ってほしいと言ってましたけど。

シミズ:無事に歌っていただけるようになりましたね。ライブではかなり盛り上がるナンバーになったと思います。

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シミズ(Gt&MC)

— そして前作から7ヶ月で早くも新作『HIMITSU』が完成しました。既に“HIMITSUスパーク”のMVも公開されてますけど、いつ頃から制作を始めたんですか?

シミズ:前作のリリース直後から作り始めて、レコーディングしたのが9月とか。今回、本当に怖かったんですよ。「もしかしたら間に合わないかも?」って。

タイヘイ(Dr):このスピード感は、かなりメンタルにきましたね。でも、短期集中でやりがいがありました。

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タイヘイ(Dr)

ヤギヌマ(Vo&Gt):そんなに曲を作るスピードが速いほうではないので、8月はとくに大変でした。

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ヤギヌマ(Vo&Gt)

シミズ:9月の末にはレコーディングが始まって、曲自体は出揃っていたんですけど、アレンジが半分くらいしか終わってなくて。10月に第2回レコーディングがあって、そこはもう詰めに詰めて、集中力が研ぎ澄まされていたと思います。それが曲にも影響して、どんどんソリッドになっていったんですよね。結果的には「最高のアルバムができたな」と言えるくらいの内容になって、いい経験になりました。

— これからもっとそういう機会が増えるかもしれないですしね。

シミズ:いやぁ、楽しみですね。もっと自分をいじめていけるっていう。

ヤギヌマ:ポジティブだなぁ(笑)。

— ヨシヤマさんは、いかがでした?

ヨシヤマ(Ba):あ……、油断してました。

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ヨシヤマ(Ba)

— ちょっと!(笑) 今日は人数が多いので、しゃべってもらわないと空気になっちゃいますよ。

ヨシヤマ:ええっと……最高のアルバムになりました!

— 内容が薄い(笑)。

シミズ:グルービー(ヨシヤマ)は感性の人間で、ものすごい天然なんです。

ヨシヤマ:もう汗が……。

— また振るんで、油断しないでくださいね。アルバムのコンセプトとしては、1作目が「宇宙」、2作目が「地球」、前作が「遊園地」で、だんだん世界観が狭まっていったわけじゃないですか。今回はタイトルそのまま「秘密」?

シミズ:そうですね。最初は細胞とかウイルスとかっていう話をしていて。「秘密」は細胞やウイルスとはちょっと違うんですけど、人の持つ感情の小さい小さい秘密っていうものに焦点を当てて、そこからアルバムを作りたいと考えてました。

— それを受けてヤギヌマさんが曲を作った?

ヤギヌマ:はい。今回はコンセプトが先に。

シミズ:いままではいろいろなことをやりすぎて、それをまとめるためのコンセプトだったんですけど、今回は先に大きいくくりのコンセプトを作ってから曲を作っていく形にしたんです。

— そういう部分は、メンバーみんなで共有してやっていくんですか?

タイヘイ:自分はあんまり共通意識を持たないようにしてます。楽曲に対する考え方でも、誰か壊さなきゃいけないと思っているので。

— 歌詞の解釈も共有しない?

シミズ:基本的に歌詞の解釈は共有しないですね。僕とヤギヌマちゃんの間ではあるんですよ。どういう歌詞にするかを彼女が提示してきて、第三者的な立場で歌詞を読んだときに、もっとこうしたら伝わりやすいとか。でも、いままでは伝わるかどうかとか、考えたことなかったんです。今回は「秘密」ということでそれを重要視して、より「対ヒト」っていうところで深く考えるようになりました。

カラスは真っ白

— わかりやすさって、秘密とは正反対の要素ですよね。

シミズ:そうなんですよ。彼女自身が、そもそも意図して言葉を並べていないんです。いままでは意味がない単語の羅列で。

ヤギヌマ:言葉遊びとかは意図して並べているんですけど。

シミズ:それを今回は、意味を持たせて、何かしら伝えたいっていうのはあって。

— 前回取材したときは、聴き手が勝手に解釈したものが正解みたいなことを言ってましたよね。

シミズ:今回は答えを用意してみたいなと思って。いちおう「秘密=○○」っていう答えはあるんですよね。それが曲にもアートワークにもすべて入っていて、リスナーのみなさんに見つけてほしいなと思っているんです。それは自分たちがわかっているんだか、わかっていないんだかっていうものであり、でもそれを伝えたいっていうこともあり。

ARTIST INFORMATION

カラスは真っ白

カラスは真っ白

2010年ヤギヌマカナ(Vo.Gt.) シミズコウヘイ(Gt.MC.) ヨシヤマ“グルービー”ジュン(Ba.) タイヘイ(Ds.)により結成。ヤギヌマカナ(Vo.Gt)のウィスパーボイスが奏でるシュールな世界観と、楽器隊のタイトでグルービーなファンキーサウンドの融合によるオリジナリティ溢れる楽曲が詰まった2012年1stミニアルバム『すぺくたくるごっこ』、2013年1stアルバム『かいじゅうばくはつごっこ』は、共にロングセラーを続けている。結成以来、徹底的に追及を続けるライブショーは全国各地のオーディエンスを魅了し、様々なバンドとの対バン、イベント出演を重ね、RADIO CRAZY2013やJOIN ALIVE 2014などフェス出演も果たし2014年6月4日にリリースした2ndミニアルバム『おんそくメリーゴーランド』も好評を得ている。そして、2015年1月14日待望の新作となる3rd MINI ALBUM『HIMITSU』のリリースが決定!これまで以上にエモーショナルに進化したヤギヌマカナが今まであまり表に出す事のなかった”感情”という”秘密”を解き放つ時、その先にあるものとは!本作でもカラスは真っ白?植草航のコラボレーションが実現!新作となる植草航が手掛けたリード曲「HIMITSUスパーク」のMVも公開中!
植草航(うえくさ わたる)

植草航(うえくさ わたる)

千葉県出身。2011年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻を修了。デルクール社発行バンドデシネ「シヤージュクロニクル外伝」に短編マンガ掲載、sasakure.UK 3rdアルバム「トンデモ未来空奏図」初回特典漫画制作、第40回「日本賞」ポスターイラスト制作、NHK Eテレ「テクネ 映像の教室」番組内コーナーにて映像作品「愛と死」を制作ほか活動歴多数。 大学院修了制作「やさしいマーチ」が第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞。現在はフリーランスのアニメーション作家、イラストレーターとして活動中。
渡部謙介(わたなべ けんすけ)

渡部謙介(わたなべ けんすけ)

カラスは真っ白結成当初から制作に携わり、CDやアーティスト写真、販促物などのアートワーク全般を担当。以降専属デザイナーとして、コンセプトワークやグッズ制作、WEBサイト運営などサポートは多岐に渡る。北海道札幌市出身。北海道工業大学情報デザイン学科卒業後、フリーのデザイナーとして活動。2013年株式会社リーツ設立。札幌を拠点にグラフィックデザイン、WEBサイト制作・運営などを行っている。

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