ライブは毎回ソールドアウト、社会福祉施設で働く職員バンド・けふなろインタビュー

就労支援を目的とした社会福祉施設で働く職員によって2003年に結成されたバンド・けふなろが、10年を超える活動を経て、遂に初めてのフルアルバム『マホウノ言葉』を完成させた。OverTheDogsの恒吉豊が作詞、星英二郎が編曲を手掛けた“エルマレロハナ”をはじめ、ときに励まし、ときに癒し、ときに楽しませる、暖かみのある全9曲が収録され、まさにここまでの集大成と呼ぶに相応しい作品に仕上がっている。

個人的に印象的だったのは、いくつかの楽曲で「虹」がキーワードになっていることで、これは「どんなにつらい時期があっても、きっと明るい未来が来る」という、彼らの願いの表れだと言っていいと思う。そして、活動の範囲が徐々に広がり、都内でライブを行えばチケットがソールドアウトするようになった今でも、「一対一で向き合う」という基本姿勢には一切の変わりがないことからは、一職員として音楽活動を続けることの誇りも感じられた。

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作(2015/2/16)

利用者さんも、一般のお客さんも区別せず、目の前の人に語りかけるというスタンスは守って行きたいと思っています。(MAYU)

— 前回の取材は2013年の10月でしたが(記事はこちら)、その後のけふなろの活動にはどんな変化がありましたか?

SUMI:2014年はライブに重点を置いた1年でした。2か月に1回都内でライブをやって、ありがたいことにチケットがソールドアウトになったり、初めて京都でライブをさせていただいたり。ライブではサポートのバンドメンバーの方がバックをガシッと固めてくれているので、私たちはその上で自由に歌わせてもらってるんですけど、最近はみんなが知ってるようなカバー曲を振り付きでやったり、お客さんにいかに楽しんでもらうかをずっと考えながらやっている感じです。

けふなろ
SUMI(Vo)

MAYU:サポートメンバーの方々とは、一緒にやり始めてから1年くらい経ったので、とてもいいムードでできていると思います。私はキーボードなので、それまではいつもボーカルの二人を一人で見守る感じだったんですけど、仲間が増えて心強く思います(笑)。

けふなろ
MAYU(key)

— でも、ライブが増えた分、仕事との両立はますます大変になってるんじゃないですか?

MAYU:周りの職員が「誰かを心配するのはいいことだから、心配かけてもいいんじゃない?」って言ってくれてるので、とてもありがたく思っています。ホントは心配をかけないような形で両立したいんですけど、なかなか難しい部分もありますね。

— そういう中で、けふなろとの向き合い方自体にも何か変化がありますか?

MAYU:そこはあんまり変わらないかもしれないです。最近のライブは一般のお客さんも増えては来てるんですけど、もともと「身近な人のために」っていうのが始まりなので、「対1人」っていう基本は変えずに、施設の利用者さんも、一般のお客さんも区別せず、目の前の人に語りかけるというスタンスは守って行きたいと思っています。

— アルバムの話をお伺いする前にもうひとつ、けふなろの曲を書いているKOUJIさんについてお伺いしたいのですが、KOUJIさんはけふなろにとって、どんな存在なのでしょうか?

SUMI:会社の立場的には、施設の責任者なんですけど、もともとバンドをやっていて、曲も書いてた人で、「あいつら集めて何かやってみよう」って最初に考えた、けふなろの発案者なんです。今は曲作りの他に、坂本さん(けふなろのCDをリリースしているWaikikiRecord主宰)と直接打ち合わせもしていて、けふなろの方向性を、私たちの意見も吸い上げつつ、坂本さんとすり合わせるっていう立場ですね。最初はホントに軽い感じで、「歌好きだろ? ちょっとやってみよう」って感じだったんですけど(笑)。

— でも、KOUJIさん自身は前には出てこないんですよね。

SUMI:前にUSTREAMをやったときに、ほんのちょっとだけ出たんですけど、そのときも顔は隠してましたね。会社での立場があるので、あんまり前には出れないんです。KINYA(けふなろのメンバー)とは同級生なので、年がすごい離れてるわけでもないから、話すときはフランクな感じなんですけど、ときどき有無を言わさないときもあって、ガキ大将っていうか、ジャイアンみたいな感じです(笑)。

MAYU:見た目はドラえもんみたいなんですけどね(笑)。

— (笑)。KOUJIさんの音楽的なルーツはどこにあるんですか?

SUMI:世代的には、松田聖子さんとか、1980年代のアイドルと、あとはバンドブームも通ってるから、BOOWYとかは好きみたいです。でも、小さい頃お兄さんの部屋でTHE BEATLESをよく聴いていたそうで、それが根底にあるっていうのはよく言ってますね。

けふなろ『マホウノ言葉』(CD)

けふなろ『マホウノ言葉』(CD)

発売日:2015年2月14日(土)
価格:1,944円(税込)
WAKRD-047
1. けふなろ定期便
2. Basement Party
3. エルマレロハナ
4. fairy tale
5. ナナイロ引き出し
6. 二人の空
7. sonia
8. はじまりはこの季節
9. 明日に着がえたら

ライブ情報

『アルバムCD発売記念けふなろのみんなでできるかな特別編』
2015年2月17日(火)
OPEN 19:00 / START 19:30
会場:Zher the ZOO YOYOGI
料金:前売2,500円 当日3,000円(1drink込み)
出演:
けふなろ
Guest:清水 悠(Dew)
月本ななみ(オープニングアクト)

ARTIST INFORMATION

けふなろ

けふなろ

2003年、社会福祉施設で働く職員達の中から仕事の一環として 音楽療法を取り入れる話があがりました。 バンド経験のあるメンバーがその声に賛同して集まり『けふなろ』 の誕生となりました。

OTHER FEATURES