短期間で成功を手にした戦略家インストバンド、fox capture planの頭の中

「ジャズとロックの融合」が評価の理由? 文化を発展させるための揺るぎない信念とは

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作(2014/7/14)

それぞれがJABBERLOOPとImmigrant’s Bossa Bandのメンバーとして、クラブジャズのシーンで活動していた岸本亮(ピアノ)とカワイヒデヒロ(ベース)が、nhhmbaseなどのメンバーとしてポストロックシーン界隈で現在も活動している井上司(ドラム)に声をかけ、2011年に結成されたfox capture plan。2013年の5月にファーストアルバム『trinity』を発表すると、その越境型の音楽性が話題を呼び、それからわずか半年後にセカンドアルバム『BRIDGE』をリリース。『JAZZ JAPAN AWARD 2013』のアルバムオブザイヤ~ニュースター部門、『CDショップ大賞2014』ジャズ部門でそれぞれ賞を獲得し、結成してわずか2、3年にして一躍その名が知られることとなった。

なぜ彼らはこんな短期間で成功を手にすることができたのか? それは、決して短くはないこれまでの音楽家としてのキャリアから来る自信と、今の時代に必要な要素を取り入れる柔軟性に起因していると言える。ジャズとロックを基盤に、あくまでメロディーを重視したオリジナリティーの高い楽曲を作りつつ、その一方では音楽シーンの流行りも意識し、さらには大胆な選曲のカバーも披露する。そのバランス感覚は非常に稀有なものだ。またもわずか半年のペースでリリースされるサードアルバム『WALL』では、ダンスロックの流行を取り入れ、RADIOHEADやYMOの名曲をカバー。こういったチャレンジも、バンドに対する揺るぎのない信念があるからこそできるというものだろう。三人の発言から、その確かな自信を感じてほしい。

新しい外への一歩を踏み出したいと思って、クラブジャズとポストロックのちょうど中間ぐらいの音楽をやろうと。(岸本)

— まずはfox capture planの成り立ちから話していただけますか?

岸本(Pf):俺とベースのカワイはもともとクラブジャズシーンを基盤に活動してたんですけど、新しい外への一歩を踏み出したいと思ってたときに、ちょうどポストロックのシーンにいた井上くんと知り合って、クラブジャズとポストロックのちょうど中間ぐらいの音楽をやろうと声をかけました。ファーストアルバムに入ってる“衝動の粒子”とかは思いっ切りそういうイメージで作ったんですけど、それが思った以上に世間に受け入れてもらえて。一方で、「ジャズシーンからは離れた存在に見られてしまうのかな?」って危惧もあったんですけど、セカンドアルバムの『BRIDGE』はジャズシーンからも賞をいただけて、嬉しかったですね。

“foxcaptureplan”
岸本亮(Pf)

— なぜクラブジャズのシーンから一歩外へ踏み出したいと思ったのでしょう?

岸本:孤立してしまうと、文化って衰退してしまうと思うんです。ジャズシーンの中でジャズ好きな人にだけ向けてやってても、ジャズ文化は外に広がらないし、外に出て新しいことを取り入れていくことで、文化は進化していけると思うんですよね。それまでも、JABBERLOOPとしてジャズの中では新しいことをやってたと思うんですけど、例えば、同じジャズを基盤にしてても、SOIL & “PIMP”SESSIONSとかって、むしろライブに来てるのはロックファンの方が多かったりすると思うんです。そういう中で、自分がこの先どういう音楽をやっていくかを考えたときに、JABBERLOOPだけでは表現できないことをやってみたいなと思ったんです。

— カワイさんもImmigrant’s Bossa Bandをやりつつ、より一歩外に出て行きたいという思いを持っていらっしゃったのでしょうか?

カワイ(Ba):「Immigrant’s Bossa Bandではできないことをやりたい」っていうのはありました。かといって、「これがやりたい」っていうのが明確にあったわけではなくて、「何か一緒にやろうよ」っていう飲みの席の軽いノリから始まってるので、まさかここまで評価していただけるようになるとは自分でも思ってなかったんです(笑)。

“foxcaptureplan”
カワイヒデヒロ(Ba)

— 逆に、もともとロックのシーンにいた井上さんから、ジャズのシーンはどう見えていたのでしょうか?

井上(Dr):もともとジャズを聴くのは好きだったし、ピアノのメロディーとかも好きだったんですけど、自分がやることではないかなって思ってて。でも、日本でmouse on the keysが出てきたり、シカゴのポストロックシーンでもジャズ的な要素のバンドが増えてきた時期に誘われたので、面白そうだなと。

“foxcaptureplan”
井上司(Dr)

岸本:ツカっちゃん(井上)のドラムは打点がバリバリのロックドラムで、それがfox capture planのサウンドに欲しくて誘ったんですよね。

カワイ:でも、ツカっちゃん、最初は遠慮がちにジャズっぽく叩こうとしてたよね(笑)。求められてるのはそうじゃないとわかってから、曲がポンポンできてきて、初ライブの時点で14曲ぐらいありました。

BRAND INFORMATION

fox capture plan(ふぉっくす きゃぷちゃー ぷらん)

fox capture plan(ふぉっくす きゃぷちゃー ぷらん)

「現代版ジャズ・ロック」をコンセプトとした情熱的かつクールで新感覚なピアノトリオサウンドを目指し、JABBERLOOPの岸本亮(Pf)、Immigrant‘s Bossa Band のカワイヒデヒロ(Ba)、nhhmbaseの井上司(Dr)の三人が集まり2011年に結成。2012年8月にタワーレコード新宿店限定で発売したシングルCDR『Sampleboard』が、フロアデイリーチャート1位を記録。同年10月、タワーレコード限定ミニアルバム『FLEXIBLE』をリリースし、さらに約半年後の2013年5月にファーストフルアルバムアルバム『trinity』をリリース。同年12月には早くもセカンドアルバム『BRIDGE』完成させ、『JAZZ JAPAN AWARD 2013』アルバムオブザイヤーニュースター部門と、第6回『CDショップ大賞2014』ジャズ部門賞を受賞。前作から約7ヶ月後の2014年7月9日に、ニューアルバム『WALL』をリリース。

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