真に新しい音楽の届け方とは? UQiYOが提案する「パーソナルミュージック」

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:矢島由佳子(2014/8/19)

限定1枚のシングルCDをトランクに入れて日本を縦断させたり、2ヶ月にわたって毎週アップデートされていく女の子と男の子の歌がバレンタインデーにひとつの曲になったり、「レターインボトル」のように手作りのボトルの中に音楽を閉じ込めたり……UQiYOという名の3人組を語る上で特筆すべきことは、生演奏とエレクトロニクスが溶け合った美しくも温もりのある音楽性のみならず、その作品の「届け方」にある。デジタルが発達し、音楽がデータ化され、YouTube等ネット上で簡単に手に入るようになってしまった現代、彼らは「ポップミュージック」ではなく「パーソナルミュージック」の重要性を提案しているのだ。

このような活動の背景には「音楽を、音以上の体験として提供したい」という、明確なコンセプトがある。音楽分野以外のクリエイターにリスペクトを向け、新たな発想を取り入れて様々なコラボレーションを展開し、映画館、図書館、コワーキングスペースといった非ライブハウスでイベントを行っているのも、やはり「体験」を重視していることの表れだと言っていいだろう。「アナログから生まれるパーソナルな体験に、音楽がどのように入っていけるのか」を模索し、実験し続ける三人の頭の中を覗いてみた。


「どうやって自分の音楽を聴いてもらうか?」とか、そういう働きかけを自分でやるようになって、これこそが音楽を作る上で一番楽しい部分なんじゃないかって気づいたんですよね。(Yuqi)

— Yuqiさんは以前corkというユニット(後期はバンド)で2007年まで活動されていて、その後2012年からUQiYOが始まったそうですね。その間の5年にどんな変化があって、今の活動形態にたどり着いたのでしょうか?

Yuqi(Vo,Gt,Composer):corkの時代はずっと部屋の中で引きこもって曲を作っていて、自分自身も内向きになっていたんです。だから、「できあがったものはもう知らない」ぐらいの気持ちで、お客さんの反応もあんまり気にしてなかったし、CD屋に挨拶に行ったりとかもしてなくて。

Yuqi(Vo,Gt,Composer)
Yuqi(Vo,Gt,Composer)

— 楽曲が完成した時点で満足だったと。

Yuqi:そう、曲が完成したら、その後はレーベルの人に任せる感じで、いろんなことを知らなかったんですよね。で、そのバンドが解散した後、「どうやって自分の音楽を聴いてもらうか?」とか「どんなクリエイターに映像を作ってもらうか?」とか、そういう働きかけを自分でやっていくようになって、これこそが音楽を作る上で一番楽しい部分なんじゃないかって気づいたんですよね。「自分の頭の中を表現できればそれでいい」じゃなくて、その先にすごく面白いことがいっぱいあるんだって気づいて、パッと世界が広がったんです。

— 芸術の本質であるコミュニケーションに立ち返ったとも言えそうですね。Phantaoさんとはどのように出会ったのですか?

Yuqi:前のバンドが解散した直後に1回就職して、スピーカー屋でエンジニアとして設計をしてたんですけど、(Phantaoは)同じ会社の同僚だったんです。

Phantao(Key):(Yuqiは)スピーカーの設計をする人で、僕はスピーカーを作る機械を設計する人で。

Phantao(Key)
Phantao(Key)

Yuqi:どっちもいないと成り立たないんですけど、会社の中では犬猿の仲で、向こうは「お前が変な設計するから量産できねえんだ」って言うし、こっちは「いい設計してんだから、ちゃんと量産しろ」っていう(笑)。でも彼から、「俺は音楽で食っていきたいから、会社を辞めて専門学校に行く」って話を聞いて、気合い入ってるから「一緒にスタジオに入ろう」って誘ったんです。

— Phantaoさんは以前からずっと「音楽で食べて行きたい」と考えていたわけですか?

Phantao:学生時代からずっと音楽をやってて、就職はしたんですけど、まだやりきったとは思えてなくて。それで結局、仕事が忙し過ぎてライブができなかったりしたので、思いきって会社を3年でやめたんです。でも、大学がずっと田舎で、東京の音楽仲間が少なかったから、専門学校に行こうと思ったんです。

— Satoshiさんは今年の1月に正式加入されていますが、Yuqiさんがcorkの後にphisicoとしてソロで活動されていた頃からの付き合いなんですよね?

Satoshi(Dr):当時僕がやってたバンドで対バンをして、半年後だか1年後だかに急にTwitterでメッセージが来て、「ドラムやってくれない?」って言われて。僕の場合、去年までの3年間は年間120本ぐらいライブをやって、いろんなジャンルと関わってきて、「浮遊する歌」じゃないですけど、僕自身が浮遊してるような感じで(笑)。ちょうど今年の正月に正式メンバーになって、UQiYOは演奏以外にもやることがたくさんあるから、今は主にUQiYOの活動に時間を割くようになりましたね。

Phantao(Key)
Satoshi(Dr)

ARTIST INFORMATION

UQiYO(うきよ)

UQiYO(うきよ)

日常を、心地よい非日常-浮世-にいざなう音楽ユニット。Vo / ComposerのYuqiを軸に2010年よりKeyのPhantaoと活動を開始。2014年1月よりPerc / DrのSatoshiが正式加入。「音楽を、音以上の体験として提供したい」という志で、さまざまな試みとともに音源リリースやLive活動を行う。 2013年春にリリースした「at the Starcamp」のMVは、ウェブデザイン業界の最注目株であるデザインスタジオ「TWOTONE」から協力を得て撮影。宣伝なしで再生回数10,000を超す。映画館、コワーキングスペース、図書館など様々な空間でLIVE鑑賞者と一緒にその場で音楽をつくる環境音が好評を博している。現在、1枚のCDを、大切な人から大切な人に渡し続け、日本縦断を目指した「浮遊するCDプロジェクト」を実施中。

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