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向井秀徳インタビュー「すとーりーず・おぶ・向井秀徳」

理想のロックバンドの形を追い求めて、ZAZEN BOYSの物語はこれからも続く

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:田中慎一郎(2012/10/02)

福岡から現れたNUMBER GIRLが東芝EMIよりメジャーデビューシングル『透明少女』を発表したのが1999年。NUMBER GIRLの解散に伴い始動したZAZEN BOYSがデビューアルバム『ZAZEN BOYS』を発表したのが2004年。両バンドの中心人物である向井秀徳は、10年以上に渡って日本のロックシーンの第一線に立ち続け、今も無数のフォロワーを増やし続けている。この事実は、向井が敬愛するPRINCEやLED ZEPPELINのように、彼自身が確固たるオリジナリティーを持ち、自らの表現をひたすら追求してきたことの証明であると言えるだろう。これまでで最も長い、4年というブランクを経て届けられたZAZEN BOYSの新作『すとーりーず』は、「バンドサウンド」という基本に立ち返りながら、またしても彼らが新たな領域を切り開いた作品。そこで今回の取材では、改めて向井のバックグラウンドを紐解きながら、彼の表現の根幹にじっくりと迫ってみた。ここにまたひとつ、音楽の魅力に取りつかれた男の物語がある。

自分が理想とするロックバンドの形っていうのをずっと求めてやってるんですよね。

— 『すとーりーず』はある種原点回帰的な作品であると同時に、新たな一歩を記した作品という印象を受けました。

向井:そういう気がしますよね。原点回帰……まあ、バンドサウンドにまた戻った、みたいなね。前回の『ZAZEN BOYS 4』は打ち込みで作った曲とかを収録していたんですけれども、それをバンドで演奏していくことによって、どんどん曲が肉体的になっていったんですね。4年間ずっとそれを続けて、打ち込みの曲だろうが何だろうが、結局ZAZEN BOYSサウンドになるんだなっていうことを思いまして。今回もデモ音源は私が打ち込みで作ってるんですけど、それを元にしてZAZEN BOYSのバンドサウンドに発展させていこうという、そういう作り方をしましたね。

向井秀徳
向井秀徳

— バンドサウンドの追求っていうのは、NUMBER GIRLが解散して、ZAZEN BOYSをスタートさせた当初のコンセプトに戻ってきたという言い方もできますか?

向井:自分が理想とするロックバンドの形っていうのをずっと求めてやってるんですよね。音楽性に関しては、自分の中にある多種多様な、自分の好む音楽性があって、それを全部、ひとつと決めずにバンドでやっていきたいっていうところから始まってますんで、いろんな方向に行ってるとは思うんですけど。

— ZAZEN BOYSの音楽性はロック、ヒップホップ、R&B、ダンスミュージックとあらゆるジャンルを内包していると思いますが、新作を聴いて特に「ファンク」っていう部分が大きいように思いました。いわゆる「PUNK TO FUNK」が基本にあるのかなと。

向井:でも、私パンクは通ってないですからね。オリジナルパンクの世代でもないし、世代的に言ったら私はバンドブームのビートパンクの世代で、でもビートパンクという言葉が苦手で、あんまり聴いてなかったんです。なので、パンクミュージックっていうのは私の音楽体験であんまり通ってない部分なんです。

— では、「ファンク」に関してはいかがですか? 資料には「オーネット・コールマンが提唱した『ハーモロディック理論』を勝手に解釈し」とありましたが、あれもジャズというよりはファンクの要素を指してるのかなって思ったのですが。

向井秀徳

向井:ジャンル分けしてどうのっていうのは、もはやあまり意味を成さないと思うんですよね。もう音楽を聴いてる人たちって、ジャンルの垣根を越えて好きなものを何でも聴くっていう聴き方が多いだろうし、私もそうですしね。まあ、ファンクミュージックに関しては中学校のときにSLY & THE FAMILY STONEを聴いたのが大きいですね。その前はPRINCEなんですけど。

— 向井さんはよくPRINCEに対する愛情を語っていらっしゃいますが、そもそもPRINCEとはどのように出会ったのですか?

向井:うちの兄がすごい好きで、小学校のときから夜な夜な聴かせられ、でも最初はその良さが理解できなかったんです。当時洋楽で言ったらCULTURE CLUBとかDURAN DURANが流行ってて、そういうのとPRINCEは音楽的に何か違うなっていうのは子供ながらに感じてたんですけど、深くまでは理解できなかった。でも、だんだん洗脳教育されて、PRINCEが刷り込まれて行って、好きになっていくわけです。非常に確固たるオリジナリティーを持ったアーティストであることに気づいて、PRINCEのルーツを探るようになる。PRINCEミュージックっていうのはいろんな音楽性をはらんでおりまして、いろんなルーツが見えてくるわけですよ。

— そこでたどり着いたのが、SLY & THE FAMILY STONEだったと。

向井:そうですね。中学校で『There’s a Riot Goin’ On(邦題:暴動)』というアルバムを聴いてまず思ったのが、「なぜここまで音がこもってるんだろう?」と。とにかく尋常じゃないぐらい音がおこもりになっていて、「これは意図してやってるのか? だとすれば、この人は耳がおかしいんじゃないか?」と思って。ただ、ファンクのイメージってもっと大人数で、すごい派手な格好をして、みんな踊りまくるみたいなイメージだったんですけど、スライのそのアルバムからは非常に密室感や閉塞感、もっと言えば孤独感みたいなものを感じて、これはすごいカッコいいなと。ファンクミュージックというよりは、スライ・ストーンという人の内面に渦巻いているどす黒いものが音になって表れてるんだろうと思うんですけど。

— 様々なジャンルが内包されていることはベーシックにありつつ、それこそスライのように、PRINCEのように、ZAZEN BOYSも向井さんの内面が反映された音楽になっていますよね。

向井:バンドを始めたときはもっとね、「今のギターリフ、イギリスの何とかっぽくて最高だ」とかね、自分の好きなバンドの音に似せていく楽しさっていうか、真似事みたいなことで満足してたんだけど、だんだんやり続けてるうちに、自分ならではの表現をしなきゃいけないんだって思ってきまして、そこから今に至りますね。

ARTIST INFORMATION

ZAZEN BOYS

ZAZEN BOYS

メンバーは、向井秀徳(Vo,G,Key)、松下敦(Dr)、吉田一郎(B)、吉兼聡(G)。元NUMBER GIRLの向井が中心となり、2003年結成。MATSURI STUDIOを拠点に音源を発表、国内外で精力的にライブを行っている。メンバーは、向井秀徳(Vo,G,Key)、松下敦(Dr)、吉田一郎(B)、吉兼聡(G)。元NUMBER GIRLの向井が中心となり、2003年結成。MATSURI STUDIOを拠点に音源を発表、国内外で精力的にライブを行っている。メンバーは、向井秀徳(Vo,G,Key)、松下敦(Dr)、吉田一郎(B)、吉兼聡(G)。元NUMBER GIRLの向井が中心となり、2003年結成。MATSURI STUDIOを拠点に音源を発表、国内外で精力的にライブを行っている。

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