もの作りはかくあるべし! カラスは真っ白×植草航(アニメーション作家)の相思相愛MV制作秘話

サウンドアレンジの部分で、どういうふうにキラキラ感を出そうとか、隙間を埋めていこうとかは、絵コンテを見せていただいたり、事前に色味を教えてもらってから考えたんです。(シミズ)

— メンバーからMVに対して、何か注文したことはあったんですか?

シミズ:注文どころかむしろ、MVから影響を受けていることがあって。植草さんにはデモ段階から音を聴いてもらっていて、MV制作とレコーディングが同時並行で進んでいたので、実はMVを見て曲のほうに修正を入れているんです。

植草:えっ、そうなんですか?

シミズ:最後のサビが2回続くところがあって、<扉の外は>という歌詞は2回目になっているんですけど、もともと1回目のほうに出てくる歌詞だったんですよね。それで最初に映像をもらったときに、扉の外に出るような描写が最後に来ていたので、入れ替えたほうがいいと思って。

“acrowiswhite”

ヤギヌマ:ね。入れ替えようって。

シミズ:ほかにもサウンドアレンジの部分で、どういうふうにキラキラ感を出そうとか、隙間を埋めていこうとかは、絵コンテを見せていただいたり、事前に色味を教えてもらってから考えたんです。

— 映像も制作のなかの一環に入ってたんですね!

植草:それはありがたいですね。あの、ひとつ聞きたいことがあるんですけど、デモを聴いているときから、どの曲にもそれぞれの色が見えたんですよね。それは最初から意図しているんですか?

ヤギヌマ:意図して作る場合もあります。全部じゃないんですけど。

シミズ:「これ、何色だね」っていうときもあるよね。

ヤギヌマ:色と時間帯と。

シミズ:朝とか夜とかね。それを意識して曲のアレンジをするので、そう感じるのかもしれないですね。

ヤギヌマ:でも時間を指定しても、私が夜型の人間なので、夜っぽい歌詞しか書けないんですけど。

植草:“サーカスミラー”はネガポジっぽい感じのイメージが出てきて、“アセトアルデッドヒート”は黄色とか金色のイメージが強いんですよね。CDの盤にもイメージカラーがあったじゃないですか。

シミズ:(CDを見て)確かに黄色だ。

“acrowiswhite”

— これは1曲ごとのイメージを色にしたんですか?

ヤギヌマ:曲のイメージアイコンと、イメージカラーと。

シミズ:デザイン的には、「CDをデッキに入れて回すと何色になるんだろう?」っていうことで作ったらしいんですけど。

植草:“スカート・スカート・スリープ”も、自分のなかでは淡いピンクとか、そういうイメージなんですよね。

ヤギヌマ:あれはパステルカラーの曲だと思って作りました。

植草:そのへんも想像力を掻き立てられて、面白いなと思って。

— カラスは真っ白はのCDは、全て同じデザイナーさんが担当しているとのことですが、古い付き合いなんですよね?

シミズ:僕のサークルの先輩であり、ベースの後輩であり、間に挟まれている人で。昔ちょっとだけ一緒にバンドをやったこともあって。

— じゃあ、カラスは真っ白のことをよく理解したうえでビジュアルを。

シミズ:そうですね。結成当初からずっとやってもらってて、お互い成長していけてる感じがします。今回、初めて表のジャケットに「カラスは真っ白」って文字が入ってないんですよ。それは気合いの現れかなと思っているんですけど。

“acrowiswhite”

リスナーには普通に、音楽として楽しんでもらえたら十分だなって。その一方で、自分たちではかなり詳細なコンセプトを作っているので、何が正解かわからなくなるんですけど、そういう複雑さもカラスは真っ白の面白みなのかなと思うんです。(シミズ)

— 今日はいろいろお話を伺いましたが、とにかく、かなりしっかりとコンセプトが作り込まれていることに驚きました。植草さんも、他のMV仕事よりもやりやすかったんじゃないですか?

植草:たしかにここまでしっかり作り込まれていることはないですよね。しかも実際のコンセプト文を見ても、「なるほど!」って感じで、納得しましたね。

— いやー、ますます見たくなりますね。

シミズ:見ますか? (PCを取り出し)こんな感じで、1曲1曲。

— わっ、すごい!

シミズ:これは“スカート・スカート・スリープ”のファイルですけど、「MVにするなら」ってイメージも書いてありますね。しかも「サビは女の子が走りながら」って(笑)。

ヤギヌマ:ヤギヌマが言ったやつだよね。

— 「結論」とかまであるんですね! これ、いつか書籍化したいです(笑)。

シミズ:いろいろ設定とかもあるんですけど、これはお客さんが知らない部分にしておきたいなと思ってますね。自分たちで楽しんで、それがにじみ出たらいいなくらいの感じで。

— リスナーも、バンドがそういうことをしながら作っているということを想像しながら聴くと面白いですよね。僕もいま見てしまったので、次から新曲が出たら、どんな企画書が合ったんだろう? と勝手に想像しちゃいそうです(笑)。

植草:わかります(笑)。

シミズ:でも、曲作りの根本は「こういう曲をやりたい!」っていうだけなんですよ。コンセプトはあくまでも、出来上がった曲にどういう意味付け、肉付けをしていくのかっていう作り込みの話なので、リスナーには普通に、「ここのリズムが最高だ」とか、「このメロディーが好き」とか、そこを楽しんでもらえたら十分だなって。その一方で、自分たちではかなり詳細なコンセプトを作っているので、何が正解かわからなくなるんですけど、そういう複雑さもカラスは真っ白の面白みなのかなと思うんです。

— 最初は演じるつもりでやっていたけど、だんだん真実に変わってきちゃうような?

シミズ:そうですね。それも面白みのひとつかなと思いますし、僕たちも変化しているんだなと思いますね。

“acrowiswhite”

BRAND INFORMATION

カラスは真っ白

カラスは真っ白

2010年ヤギヌマカナ(Vo.Gt.) シミズコウヘイ(Gt.MC.) ヨシヤマ“グルービー”ジュン(Ba.) タイヘイ(Ds.)により結成。ヤギヌマカナ(Vo.Gt)のウィスパーボイスが奏でる シュールな世界観と、楽器隊のタイトでグルービーなファンキーサウンドの融合によるオリジナリティ溢れる楽曲が詰まった2012年1stミニアルバム『すぺくたくるごっこ』2013年1stアルバム『かいじゅうばくはつごっこ』は、共にロングセラーを続けている。結成以来、徹底的に追及を続けるライブショーは全国各地のオーディエンスを魅了し、様々なバンドとの対バン、イベント出演を重ね、RADIO CRAZY2013などフェ ス出演も果たし、2014年活動の幅が、その音楽性と共にさらに広がりを見せる中、待望の新作となる2ndミニアルバム『おんそくメリーゴーランド』が6/4にリリース。ロックアプローチによるあらたなサウンドアクションや、モンスターリリシストぶりを遺憾なく発揮したヤギヌマカナの歌詞、前作同様エレピやホーン導入によるきらびやかでゴージャスなサウンドなどをスタイリッシュに展開し話題沸騰中。カラスは真っ白にしか出せない、そのポップセンスの加速は止む事を知らない。気鋭の若手アニメーションクリエーター植草航が手掛けたリード曲「fake!fake!」のMVも各動画サイト上で大反響呼んでいる。
植草航(うえくさ わたる)

植草航(うえくさ わたる)

千葉県出身。2011年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻を修了。デルクール社発行バンドデシネ「シヤージュクロニクル外伝」に短編マンガ掲載、sasakure.UK 3rdアルバム「トンデモ未来空奏図」初回特典漫画制作、第40回「日本賞」ポスターイラスト制作、NHK Eテレ「テクネ 映像の教室」番組内コーナーにて映像作品「愛と死」を制作ほか活動歴多数。 大学院修了制作「やさしいマーチ」が第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞。現在はフリーランスのアニメーション作家、イラストレーターとして活動中。

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