奇跡のような、ごく普通の女の子 平賀さち枝インタビュー

私自身、普段弾き語り系のシンガーソングライターはあまり聴かないんです

— 作品の話に入っていきますけど、『さっちゃん』をリリースして、反響とか何か変化はありました?

平賀:とくにないんですけど、音楽に対しての気持ちがちょっと変わりました。『さっちゃん』は「自分でも歌がつくれちゃうんだ」っていう嬉しい気持ちでつくったアルバム。でも初期衝動はもう、終わっちゃった。

— 終わっちゃったの?(笑)

平賀:完全に(笑)。だから『23歳』は「これからどうしよう……?」というところから始まっていて。

— 『さっちゃん』をリリースしたときのインタビューで「私はバンドがしたい」「歌だけを歌いたい」っていうことを言ってたけど、今回の『23歳』は、その流れでバンドになったの?

平賀:それはまた全然違っていて。レーベルの人と「そろそろ出したいね」って話をしたんだけど、そのとき私、ひとりで録音できる元気がなくて。アルバムをつくるって話になってるのに、全然意気込めなくて。で、まず「今回は誰に録ってもらうか」っていう話をして、アルバムの構想段階から葛西敏彦さんに参加してもらうことになったんです。

— 高木正勝さんやbonobosを録っている人ですよね。でも珍しいですよね。エンジニアさんから決まったんだ?

平賀:そう。葛西さんは、オオルタイチさんのPAもしてる人なんだけど、「どんなアルバムを録ろうか」という打ち合わせを、すごく親身になってしてくれたんです。「のびのびやったら、いいよ」って励ましてくれたり。そのやりとりのなかで、メンバーも決まっていった。だから今回、葛西さんがすごく大きかった。メンバーの田中馨(B)さんや内田武瑠(Dr)さん、野村卓史(Key)さんとも繋いでくれたから。

— いいチームでできたんですね。音楽も人柄も最高のメンバーですよね。

平賀:そうそうそう。だから「このメンバーでいっしょにやれるんだ」って、アルバムを録る元気をまずそれでもらえて、メンバーが決まってリハに入って、みんなが鳴らしてくれる音に、またさらに元気をもらって。弾き語りでステージにのぼるときはひとりだけど、自分は音楽や人生をひとりでやっているわけではないということがやっとわかったから、次はひとりで向かっていける気持ちにもなれた。

— いい作品づくりができたからこそ、その次に、っていう気持ちになれたのかな。

平賀:関わってくれた方々のおかげです。

— 話は変わって。「江の島」のPVすごくよかったんですけど、あのわざといなたい感じっていうか、PVの感じよりも平賀さん本人はずっとお洒落だったりするじゃないですか。それがどうしてって? ちょっと突飛かもしれないですが。

平賀:あれは実際の私とは関係なく、「女の子が旅をする感じ」を撮りたかったんです。RIP SLYMEの「ダンデライオン」っていう曲のPV知ってます? 宮崎あおいちゃんがリュックを背負って家出して、ひとりで土手とかを歩いていくうちに、いろんな景色が出てくる、っていう。そのイメージを伝えたら、エリザベス宮地さんがすごくよい映像にしてくれて。

— 目論み、成功していると思う。もう気になってしょうがなかったから(笑)。ちなみにジャケットとか歌詞カードとか、そういうのも「こうしたい」って意見出したりしてる? 今回ジャケット写真は川島小鳥さんだったりするけど。

平賀:うん。だけどあまり頑固にならずに、客観的に見てくれる人たちの意見を聞きながらやっていければいいかなって。自分の意見だけだと間違った方向に行っちゃうときもあるから。

— 平賀さんの音楽を聴いていると、フリーフォークやアシッドフォーク、アーティストで言うとヴァシュティ・バニヤンやジュディ・シル、日本だと金延幸子とか。そういう音楽を想起するのだけど、そういうのは好きじゃないの?

平賀:(音楽)詳しくないから、よくわかんないです。

— そうなんだ! 最近はどんな音楽を聴くの?

平賀:(diskunionの)ソウル/ブルース館とかが楽しくてよく行く。

— 前作も今作も、日本的叙情感もあるんだけど、そういう女性シンガーソングライターの、海の向こうの乾いた感じもして、こんなバランスの人が日本にも出てきたんだ、って。

平賀:ありがとうございます。私自身は普段あまりそういうシンガーソングライター系は聴かないから、実は『さっちゃん』の音は、ちょっとさびしい感じもするんですけどね。

— 音がものたりない感じ?

平賀:ものたりないというか、自分が昔からバンド系の音楽をよく聴いていたから、ちょっとさびしく感じるんだと思う。でも「そのままで大丈夫」ってみんな言ってくれるから、『さっちゃん』は『さっちゃん』でいいんじゃないかなって、思ってもいて。

— すごい、不思議だね。好きなものとだいぶ違うのに、何でこんな表現になるんだろう。でも平賀さんのつくるストリングスアレンジとか、いろんな楽器が入ってる曲も聴いてみたいですね。

平賀:うん、やりたい。10年ぐらい経ったら。30歳を過ぎて、もっといろんなこと自由にできるようになったら。

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BRAND INFORMATION

平賀さち枝

平賀さち枝

1987年生まれ。岩手県出身。 2009年に作詞、作曲、ギターをはじめる。ギターが弾けずアカペラなどでライブ活動を開始。数ヵ月後にはギターを弾きながら歌うようになる。2010年高円寺無力無善寺で毎月定例ライブを行う。都内各所で活動。ファーストアルバム「さっちゃん」を2011年4月にkitiよりリリース。2011年7月にはJACCSカードの「あなたの夢に応援歌」に参加、10月にはFM802主催の「ミナミホイール 2011」出演。アルバム「さっちゃん」は各所で2011年のベスト・アルバムに選ばれるなど、現在もロングセラーを続けている。

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