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奇跡のような、ごく普通の女の子 平賀さち枝インタビュー

インタビュー・テキスト:ヨコタマサル 撮影:田中慎一郎(2012/06/11)

平賀さち枝に、恋をした。いろんなことをすごく深く知ってそうで、でも実は天然で、小さく儚げで、でも実はしたたかで芯のある——そんな音楽に、恋をした。トラッドフォークの乾いた空気も、URCのように凛としてしめった日本的な叙情感も、フリーフォークのようなアーシーささえも同居する、彼女の音楽。ジュディ・シル、ヴァシュティ・バニヤン、金延幸子……でもそんな見立てに、取り立てて意味はない。なぜなら彼女は何にも知らない、ごく普通の、奇跡のような女の子。

当たり前だが、奇跡は魔法でもなんでもない。多くの偶然や小さな積み重ねの上にある。その結果だけ見た、そこでそれをたまたま観測した人がそう呼ぶだけだ。音楽で言えば「リスナーは幸福」と言われるのは、そういう意味である。

各所で話題を呼んだ1stアルバムに続く、バンド編成に挑んだミニアルバム『23歳』をリリースしたばかりの平賀さち枝。まだそれほど多くない彼女の肉声から、その幸せを感じてほしい。…ん? ずいぶんと持ち上げるじゃないか、って? だって恋とはそういうもの、でしょう。とにもかくにも奇跡のような、ごく普通の女の子の話だ。

初めてギターを持って歌った場所は、ライブハウスだった

— 小さいころは、どんな子どもだったんですか?

平賀:子どものころは少女マンガが好きで、キラキラの目の女の子とかばっかり描いてましたね。漫画家になりたくて。あとはテレビを見たり、友だちと遊んだり。あ、友だちはみんな小さいころから高校までいっしょなんで、仲良いんですけど。

— そうなんだ、出身は?

平賀:岩手県宮古市っていう本州の最東端なんですけど、すごい田舎で。コンビニは歩いて20分くらい。音楽や映画を借りるときは、自転車で40分くらいかけてTSUTAYAに行ってたのでたいへんだった。

平賀さち枝
平賀さち枝

— 部活とかやってました?

平賀:中学までは吹奏楽部で、高校のときは剣道部でした。本当にまじめにやってたなあ。小さいころから私、あまり集中力が続かないほうなんですけどね。授業中とかもほかのこと考えてて、先生の話とか聞いてなくて。たとえば「次の時間は音楽室だから集合してください」とか言われても、その話を聞いてないから集まれなかったり(笑)。でも部活は、その最中にほかのこと考えられなかったから。

— 「別にいいか」と思うことは気が散っちゃうけど、興味があることや真剣に取り組んでいることに関しては、それで自分をいっぱいにできる。

平賀:そう、そんな感じ。でも卒業してアルバイトをするようになってから、そのあたりはすごく鍛えられましたね。本当に敬語もうまく使えないし挨拶もろくにできなかったから、まずはそこから、という感じで。

— 少し戻るけど、音楽や歌が好きだなって思い始めたころのこと覚えてます?

平賀:昔からテレビが好きで、いっしょに鏡の前とかで歌ったりしてた。音楽っていうか、テレビに出ている歌手みたいな人たちのことを、ずっと好きで見てました。鈴木あみとかSPEEDとか、単純にかわいくて憧れてたんだけど。でも高校になって、くるりとか聴き始めて『ROCKIN’ON JAPAN』とか読んだりして。

— 歌はそのころから?

平賀:歌は上京して21歳のときから始めたから、今3年目ぐらいかな。最初はただ単純に東京に憧れて、ひとり暮らししてみたくて。田舎だと退屈だから、元気ないとき部屋にいると、もっと暗くなっちゃう。東京だと外に出て行けば、元気になれるところがいっぱいあるから。

— まあ、シゲキはあるよね(笑)。実際に東京に出てきて何か変わりました? 歌い始めたことも大きいとは思うけど。

平賀:今までは家族と暮らしていたけど、いざひとりで暮らしてみると、すぐさみしがったり泣いたりして、ひとりになると自分はこんな感じなんだな、こんなに弱かったんだな、って思った。でも上京して一年くらいたって、無力無善寺でライブをしたんです。そのとき私ギター全然弾けなかったから失敗しながら、ライブが練習だった。

— 初めてギターを持って歌ったのがライブ会場だった、ということだよね。いきなり行って「私、ライブしたいんですけど」って言ったの?

平賀:だって最初はみんなそうだし。あまりいろいろ考えたり、気にするタイプじゃなかったのかな、そのときは。最初はアカペラでやってたんだけど、マスターに「とりあえずかたちだけでもギターを持ったら?」と言われて、最初は始めにコードだけジャーンって弾いて歌ってた。それでライブをやっているうちに、徐々に弾けるようになってきた、って感じ。

— みんなそう、ではないと思うけど(笑)。今はもう全然いいよね。平賀さち枝のギター、って感じで。

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BRAND INFORMATION

平賀さち枝

平賀さち枝

1987年生まれ。岩手県出身。 2009年に作詞、作曲、ギターをはじめる。ギターが弾けずアカペラなどでライブ活動を開始。数ヵ月後にはギターを弾きながら歌うようになる。2010年高円寺無力無善寺で毎月定例ライブを行う。都内各所で活動。ファーストアルバム「さっちゃん」を2011年4月にkitiよりリリース。2011年7月にはJACCSカードの「あなたの夢に応援歌」に参加、10月にはFM802主催の「ミナミホイール 2011」出演。アルバム「さっちゃん」は各所で2011年のベスト・アルバムに選ばれるなど、現在もロングセラーを続けている。

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