APOGEEインタビュー 誰もが望んでいたバンドの帰還

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作(2014/3/28)

昨年の10月に代官山UNITで行われたAPOGEEにとって3年ぶりとなるワンマンライブのチケットがすぐにソールドアウトになったのに続き、4月に渋谷CLUB QUATTROで行われるワンマンのチケットも発売初日に予定枚数を終了したことは、嬉しい驚きだった。
APOGEEというバンドは2006年のメジャーデビュー以降、3枚のアルバムを発表し、シンセを全面に押し出したニューウェイブ寄りの楽曲が高く評価されたバンドであり、フロントマンの永野亮は今やCM音楽界の売れっ子、人気があるのは当然とも言える。しかし、公式な活動休止のアナウンスもなく、バンドとして存続しているのかすらはっきりしていなかったバンドが、活動再開と同時にこれだけのリアクションを獲得するというのはあまり例がなく、これはやはりAPOGEEというバンドがいかにファンの心をがっちりと掴んでいたかを証明したと言えるだろう。
この日がひさびさの取材となった永野は、ときに慎重に言葉を選びながら、ときには非常に雄弁に、APOGEEに起こった3年間の空白、自らのソロワーク、そして活動再開についてじっくりと語ってくれた。インタビュー中でも話題にあがっているように、音楽業界が変化を続ける中、それでも活動を続けているバンドたちというのは、それぞれが自らのやり方を模索し、サバイブを続けている。それはとても困難な作業ではあるが、誰もが「音楽は楽しい」という根本的な衝動に突き動かされて、歩みを進めているのだ。一時期はバンドが嫌でしょうがなかったという永野も、「今は人生で一番音楽が楽しい」と言う。音楽を続けて行く喜びと、その裏側にある強い覚悟。この言葉が聞けて、本当に嬉しかった。おかえりなさい、APOGEE。

音楽をやめたいとは思わなかったですけど、バンドってものから離れたくて……逃げましたね。

— APOGEEの活動が見えづらくなったのって、2010年の後半ぐらいからだったと思うんですね。2009年は『夢幻タワー』のリリースとツアーがあって、2010年も前半には新曲報告のライブをされてたと思うんですけど……。

永野:よくご存知で(笑)。メジャーで3年ぐらいやって、アルバム出して、プロモーションやツアーで全国を回るっていうサイクルを3回やって、それによって自分たちが思ってた以上にいろんな人に聴いてもらえたし、それ自体はすごくよかったんです。でも、僕らにとってはかなりハイペースな感じで……きつかったんですよ(笑)。

“永野亮”
永野亮

— 短期間にアルバムを3枚出して、その間にはカバー曲の配信シリーズがあったり、いろんなことをやられてましたもんね。

永野:僕らはそもそもバラバラの志向の人をわざと集めて、エゴを戦わせるみたいな、エキセントリックなことをやろうと思って組んだバンドだったんで、曲を作るのにも時間がかかるし、メジャーっていうコンセプトに合ってないのはわかってたんです(笑)。だから、いつ空中分解してもおかしくない状態で、でも動かないと忘れられちゃうっていう恐怖心もあったから、2010年とかはそういう気持ちで動いてたんですけど……途中で僕の緊張の糸が切れちゃったんですよね。活動休止とかをオーガナイズする力も残ってなかった。

— 確かに、公にバンドの活動休止が発表されることもなく、個々の活動が始まっていきましたよね。

永野:活動休止の発表を考えるとして、いつどうやって発表するのか、活動休止ライブをやるのか、そういうことを考えたり行動するのも嫌で、とにかく「もういいや」っていう気持ちになっていました。音楽をやめたいとは思わなかったですけど、バンドってものから離れたくて……逃げましたね。

— 解散も考えましたか?

永野:解散するエネルギーもなかったです。もう考えたくない、もういい、もういいっていう。もちろん、解散とか脱退も頭にはあったと思うんですけど、考えるとややこしくなって、もうこのままでいいやって思っちゃって。なので、もう腑抜けたような状態で、ポロンポロンと一人アコギで曲を作ってました。

BRAND INFORMATION

APOGEE(あぽじー)

APOGEE(あぽじー)

2003年結成、メンバーは永野亮(Vo. & G.)、間野航(Dr. & Cho.)、大城嘉彦(Syn. & G.)、内垣洋祐(Ba. & Cho.)。2006年にSingle「夜間飛行」でデビュー以降、「Fantastic」「Touch in Light」「夢幻タワー」と3枚のAlbumを発表。徹底的に作り抜かれた無駄のないスリーピースと圧倒的な存在感を放つシンセサイザーの音色に、純粋に美しい歌声とメロディが創り出すユニークなサウンドは、ロックという形だけにとどまらない普遍的な「歌」としての心地よさをも併せ持つ。ニューウェーブ等80年代音楽の色濃い影響を受けながらも、ブラックミュージックやエレクトロニカを含めた数多くの音楽要素をハイブリッドさせた彼らの音楽は現在も多くの人々から支持されている。

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