20周年を経たBuffalo Daughterでしかあり得なかった、人や世界との「つながり」の強さ

坂本慎太郎、チボ・マット、カヒミ カリィらが参加した賑やかな新作が完成

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:田中一人(2014/7/23)

結成20周年イヤーを経て発表されるBuffalo Daughterの新作『Konjac-tion』は、まさに時代の映し鏡のような作品だ。もともとはイギリスの現代アーティストであるピーター・マクドナルドが、金沢で開催した展覧会に大ファンだったバッファローを招いたことをきっかけとして、その展覧会のテーマだった「ディスコ」「ブロックパーティー」をキーワードにアルバム制作がスタート。昨年リリースされた、20周年を記念したベスト盤『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』を挟み、様々なクリエイターとの共同作業の楽しさを再認識したこともあって、新作にも多くのゲストが参加することとなった。坂本慎太郎やカヒミ カリィ、ミュージックビデオを担当した『どーもくん』でおなじみの合田経朗、さらにリミックス盤には盟友チボ・マットや砂原良徳、そのほか国内外のアーティストがずらりと顔を揃え、非常に賑やかな作品となっている。

つまりこれは、インターネットを通じて様々なクリエイターが結びつきを強めている現代を象徴した作品であり、同時にBuffalo Daugherにとっての原風景であるニューヨークのアートシーンを彷彿とさせる作品でもある。そう、バッファローはその特異な音楽性といい、活発な海外進出といい、昔からなにかを「つなげる」ということを体現し続けてきたバンドだったことを、改めて思い知らされる。もう少し話を広げれば、国内外でどこか排他的な風潮が強まる中、こういったアートの力で「共生」の重要性を説く作品の存在というのは非常に心強く、現代を生き抜く上での勇気をもらったような気さえしている。

大々的にいろんな人と一緒にやるっていうのは去年が初めてで、それが結構楽しかったから、今回も「頼んだらいいものができる」っていう確信はありました。(吉永)

— 今回の作品のスタートは、2011年に金沢で行われたピーター・マクドナルドの展覧会で、ジャケットにもなっているペインティングの前でライブをしたことだそうですね。

吉永:壁に絵が描いてあるだけでなにもない部屋だったんですけど、部屋自体のテーマが「ディスコ」で、週末にはDJを入れたり、ワークショップとかもやったりして、いわゆる静かな感じの美術館の展示室ではなかったんですね。ピーターがこの絵を描いたときに、バッファローの曲を聴いてたらしくて、「それがラジカセからじゃなく、生演奏で聴けたらすごく嬉しい」って言われて、美術館でパフォーマンスするのは私たちもやったことがなかったから、すごく面白いんじゃないかと思って。

“buffalodaughter”
シュガー吉永 (g, vo, tb-303, tr-606)

山本:部屋自体はホント真四角のホワイトキューブで、しかも、かなり大きくて。絵の中の人物も、頭が風船みたいで、とっても不思議な感じなんですよね(笑)。

“buffalodaughter”
山本ムーグ (turntable,vo)

— CINRAでは当時この展覧会を紹介する記事を作らせてもらってるんですけど、ワークショップではこのアフロなのか風船なのかわからないものを、参加者が実際かぶったりしてるんですよね(笑)。展覧会自体のタイトルが『訪問者』で、いろんな人との出会いやつながりをテーマにしていて、それが『Konjac-tion』(「コネクション」を基にした造語)という作品のテーマにもつながっているわけですよね。

吉永:そうなんです。なので、このアルバムに着手したのは展覧会があった2011年だったんですけど、去年20周年記念のベスト盤を作ったりして、ちょっと中断してたんです。ホントは20周年でこのアルバムが出せるように進めてたんですけど、間に合わなそうだから、「じゃあ、20周年の次の年にこのアルバムを出そう」っていう話になって。

— いろんな人が参加するっていうアイデア自体は、当時からあったのですか?

吉永:それも実は結果的にそうなったって感じで、「もっといいものにするにはどうしたらいいのか?」と考える中で、自然と出てきたアイデアなんです。今回、1枚のCDができるくらいいろんな人にリミックスを頼んだことも、今年の頭ぐらいに思いついたんですけど、とにかくやったことがないことをやりたかったんですよ。

— 20周年のベスト盤でいろんな人に関わってもらった経験が、今作につながっているとも言えるのでしょうか?

吉永:結果的にはそうなのかもしれないですね。今までいろんな人とやるって実はあんまりなくて、チボ・マットの(羽鳥)美保ちゃんにちょこっと入ってもらったことはありましたけど、大々的にいろんな人と一緒にやるっていうのは去年が初めて。それが結構楽しかったし、新たなアイデアも出てきたりしたから、今回も「頼んだらいいものができる」っていう確信はありました。

— 逆に言うと、今までは「三人でやる」っていうことにこだわりがあったということでしょうか?

大野:今思うと、こだわってたのかもしれないですね。三人でできるから、「だったら三人でとことんやった方が面白いんじゃないの?」って思ってたんで。

“buffalodaughter”
大野由美子 (b, vo, electronics)

吉永:まあ、バンドだからね。あんまりゲストが入ると、ユニットみたいじゃない? ただでさえドラムいなくて、女2人と男1人で、「ユニットって言ってもいいけど」みたいな編成ですけど、でも、ロックバンドなんでね、そこは。

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Buffalo Daughter(ばっふぁろー どーたー)

Buffalo Daughter(ばっふぁろー どーたー)

シュガー吉永 (g, vo, tb-303, tr-606) 大野由美子 (b, vo, electronics) 山本ムーグ (turntable,vo)により、1993年に結成。雑誌『米国音楽』が主催したインディー・レーベル、Cardinal Recordsより発売した『Shaggy Head Dressers』、『Amoebae Sound System』の2枚がたちまちソールドアウト。ルシャス・ジャクソン東京公演でメンバーに音源を渡した事がきっかけで1996年にビースティ・ボーイズが主催するレーベルGrand Royalと契約。同年1stアルバム『Captain Vapour Athletes』(Grand Royal/東芝EMI)を発表、アメリカ主要都市のツアーも行い、活動の場は東京から世界へ。アメリカ中を車で何周も回る長いツアー、ヨーロッパ各都市でのツアーも行い、ライブバンドとして大きな評価を得る。2006年には、雑誌『ニューズウィーク日本版』の”世界が尊敬する日本人100人”に選ばれるなど、その動向は国内外問わず注目を集めている。2013年、結成20年周年を記念し初のベスト盤『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffallo Daughter』を発表。このアルバムは過去の音源のみならず、新録、カバー、ライブ音源、リミックスを収録。また東京/大阪のギャラリーでバンドの歴史を辿る展示も開催した。2014年7月23日に、7枚目となるアルバム『Konjac-tion』をリリース。

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