見えないけど大事なもの くうきにみつる(空気公団×倉本美津留)インタビュー

倉本美津留と空気公団がユニットを結成。世代を超えて。じんわりと心に残る音楽。

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:田中一人(2013/11/8)

放送作家として知られ、過去にはYOUや銀杏BOYZの峯田和伸とコラボレーションするなど、ミュージシャンとしての活動も盛んな倉本美津留と、昨年結成15周年を迎え、アート志向の高い活動によって、確かな支持基盤を築いている空気公団が、新ユニット=くうきにみつるを結成、ファーストミニアルバム『はにほへといろは』を完成させた。ポップスとしてのクオリティー、日本語表現の面白さ、「見えないけど大事なものを描く」というテーマ設定などにおいて、とても初顔合わせとは思えない相性の良さを発揮した、素晴らしい作品に仕上がっている。

インタビュー中でも語られているように、倉本と、空気公団の中心人物である山崎ゆかりの一番の共通点は、日本語表現に対する目線の鋭さである。本作には先日亡くなったやなせたかしの作詞による“返事”という曲も収録されているが、決して時代とともに消費されない、普遍的な日本語の面白味に溢れた楽曲の数々は、「歌詞」という表現領域にまだまだ可能性があるのだということを、改めて感じさせてくれる。さあ、あなたはくうきにみつるの行間から何を感じ取り、何を思い出すだろうか?


(倉本は)お笑い的な、ちょっとストレンジな音楽をやってるんだろうって勝手に思い込んでたんですけど、ものすごくストレートな、気持ちをぶつけるようなライブで、めちゃくちゃ感動したんです。(戸川)

— まずは、両者の出会いから話していただけますか?

窪田:2007年に『空気公団作品集』っていうアルバムを作りまして、それはバンド結成10周年の記念盤みたいな感じだったんですけど、いろんな人にコメントをもらいたいなという話の中で、戸川君から「倉本さんにお願いしたい」っていう案が出ました。そのときは全く面識もなかったんですけど、「コメント書いてください」って、CDを送りつけました(笑)。

くうきにみつる
空気公団(左から:窪田渡、戸川由幸、山崎ゆかり)

倉本:それまで彼らの音楽を聴いていたわけではなかったんですけど、「空気公団」っていう名前は前から気になってたんですよ。僕、はっぴいえんどの松本隆さんの詞が大好きで、ファンタジーを日本語に置き換えたような、あの感じに近いセンスを感じていたから。バンド名にセンスがあるっていうことは、音楽もセンスあるだろうと思いつつ、封筒からCDを取り出したら、ジャケットもセンスがよくて、「これ、めっちゃよさそうやん」って。

— 実際に、曲を聴いた印象はいかがでしたか?

倉本:いい意味でイメージ通りっていうか、歌ってる女の子の声が、僕が一番好きだった荒井由実の頃のユーミンを彷彿とさせて、「もちろんコメント書くよ」っていうね(笑)。

くうきにみつる

倉本美津留

— 戸川さんは昔から倉本さんのファンだったんですか?

戸川:倉本さんがブレーンとして関わっているダウンタウンが大好きで、『HITOSI MATUMOTO VISUALBUM』(倉本が構成を担当)は擦り切れるほど見てましたし、雑誌のインタビューで松本人志さんと倉本さんが対談されていたものも、ページがボロボロになるまで読んだり、ホントに大好きで。倉本さんが音楽をやってらっしゃるっていうことは、『一人ごっつ』(倉本の“しやわせ”がエンディングテーマソングだった)で知ってはいたんですけど……

倉本:『一人ごっつ』のエンディングテーマ、やらせてもらってました。

戸川:ただ、真剣に音楽をやられてるってことは、不勉強で知らなかったんです。それで、コメントをいただいたりする中で、ライブも初めて観させていただいたんですけど、それまではお笑い的な、ちょっとストレンジな音楽をやってるんだろうって勝手に思い込んでたんですけど、ものすごくストレートな、気持ちをぶつけるようなライブで、めちゃくちゃ感動したんです。これは絶対にもっと多くの人に伝わるはずだと思ったし、ちょっとおこがましいんですけど、僕らの音楽と合わせて何か表現できたらいいなって思ったんですよね。

倉本:そやったんや。こんな話聞くの初めてやもんね。嬉しいわあ。

iPhone5ケース「グリンピースくん(黒)」

iPhone5ケース「グリンピースくん(黒)」

¥3,780

BRAND INFORMATION

くうきにみつる

くうきにみつる

音楽グループ『空気公団』と、放送作家、ミュージシャンとマルチに活動する『倉本美津留』による新しい取り組み。2013年11月に1stミニアルバム『はにほへといろは』をリリース。
倉本美津留(くらもと みつる)

倉本美津留(くらもと みつる)

ミュージシャン、放送作家。2008年、アルバム『躾』をビクターエンタテインメントよりリリース。「YOUに美津留」のユニットで『月』をNHKみんなのうたに発表。独自の言葉遊びと予測不可能なメロディー展開で、誰も見たことのない原液世界の表現に挑んでいる。また、放送作家として「ダウンタウンDX」Eテレのこども番組「シャキーン!」などを手がける。これまでの仕事に「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」「伊東家の食卓」他。「一人ごっつ」では大仏として声の出演も。近著にことば絵本「明日のカルタ」(日本図書センター)
空気公団(くうきこうだん)

空気公団(くうきこうだん)

1997年結成。現在は山崎、戸川、窪田の3人で活動中。ささやかな日常語、アレンジを細やかにおりこんだ演奏、それらを重ねあわせた音源製作を中心に据えながらも、映像を大胆に取り入れたライヴや、様々な芸術家とのコラボレーションを軸にした展覧会等、枠にとらわれないアート志向の活動を独自の方法論で続けている。

OTHER FEATURES