シャムキャッツ×サヌキナオヤ対談 何気ない日常を、故郷が美しかったことを、忘れないために

シャムキャッツの四人が生まれ育った浦安への想いを背景に、何気ない日常の一コマを10曲で表現した前作『AFTER HOURS』。それぞれの曲で描かれている風景をイラスト化したサヌキナオヤによるポップなアートワークも非常に印象的だったが、あれから1年のときを経て、その続編にあたるミニアルバム『TAKE CARE』がリリースされる。今作でも、何気ない日常が歌われていること自体に変わりはない。しかし、楽曲やジャケットなど、全体のトーンには多少の変化が感じられる。果たして、この1年で『AFTER HOURS』の住人たちに何が起こったのか? そしてそれは、現実世界のどんな変化を意味しているのだろうか? 高校時代まではイラストレーターやデザイナーになりたかったというシャムキャッツの夏目知幸と、今作でもジャケットのアートワークやCDに同封されるイラストブックを手掛けたサヌキの二人に、『TAKE CARE』の世界について語り合ってもらった。

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:矢島由佳子(2015/3/4)

絵とかデザインに関しては、抜く作業っていうか、要素として情報を詰め込まない。でも、魂はその抜いた箇所にどんどん入れていく。(夏目)

— まずは、お二人の出会いのきっかけから教えてもらえますか?

夏目:僕がサヌキくんを知ったのはInstagramで、「すごくいい絵だな」と思って勝手にフォローしてたんです。そうしたら、あるときサヌキくんが『ジオラマ』(自主制作漫画誌)に参加し始めて、同じく『ジオラマ』に関わっていたスカートの澤部くんから連絡先を教えてもらって、「Tシャツのイラストを描いてくれませんか?」とオファーしたのが最初です。『AFTER HOURS』の録音に入る半年くらい前かな。

サヌキ:依頼をもらったとき、部屋で一人ガッツポーズをした思い出があります(笑)。

シャムキャッツ
サヌキがシャムキャッツのアートワークとして初めて描いたイラスト

夏目:会って最初に話したときに、サヌキくんからオダジ(小田島等。サニーデイ・サービス等のジャケットも手掛けるデザイナー / イラストレーター。CINRA.NETにて、2012年に行ったシャムキャッツと小田島等の対談が掲載)の名前が出たんですよ。僕はオダジにずっと憧れてたから、『たからじま』(2012年発売のアルバム)のジャケットはオダジにお願いしたんですけど、サヌキくんもオダジに憧れていて一緒に仕事をしてた時期もあって。そういう共通点もあるし、年齢も近いから、すごく話しやすいんです。

サヌキ:僕は小田島さんの絵柄とか画風とか、自分にインストールして、完全に真似て描いてたことがあるぐらい好きなんです。

夏目:最初はそれを知らずにコンタクトを取ったんですけど、「同じ匂いを嗅ぎつけてたんだな、俺」と思いました。

シャムキャッツ
夏目知幸(シャムキャッツ)

— 夏目くんはサヌキさんの絵を見て、どんな部分に惹かれたんですか?

夏目:具体的に言うと、背景は日本の漫画でよく描かれるタッチなんですけど、人物はダニエル・クロウズ(アメリカのオルタナコミック作家)とか、アメリカっぽさを感じさせる線の引き方をしてると思って、「こういう人が出てきたか、これは早く唾をつけておかねば」って(笑)。

サヌキ:今夏目くんが言った言葉のまんま僕は描いてきたので、的確に分析されてますね(笑)。アメリカのオルタナコミックスが好きで、「こういうのを日本でやってる人あんまりいないな」と思ったから、そっちに引っ張られて描いていた時期があって……見抜かれてますね(笑)。

シャムキャッツ
左:サヌキナオヤ

— 小田島さんが共通点だったっていうのは、言い換えると、お二人はどんな部分を共有していたと言えるのでしょうか?

夏目:うーんと……絵とかデザインに関しては、抜く作業っていうか、要素として情報を詰め込まない。でも、魂はその抜いた箇所にどんどん入れていく。僕はそういうことをオダジから勝手に学んだと思ってて。なので、サヌキくんとジャケットを作ったときも、重要だったのはそういうところで、位置とかトリミングとか……でも、これを話しすぎると、オダジの技術の発表会みたいになっちゃうと思う(笑)。

サヌキ:小田島さんからどんな影響を受けたのかって、ホント言葉にしづらいんですけど……「オルタナティブ」っていうことを自覚的にやるというか……。

夏目:うんうん、わかる。いかにオルタナティブであるかってことと、いかにポップであるかってことを、すごく突き詰めて描いてるよね。でも、最終的にはすごく優しい仕上がりになってる。オダジがよく言うのが、「明日を掴ませるものじゃないとダメだ」ってことなんですよ。FISHMANSがいまいちなのは、あの人たちは明日を掴ませない。THE STONE ROSESみたいに、闇雲でもいいから、オルタナで、ポップで、最終的に明日を掴ませるものが素晴らしいって。

サヌキ:「何でもないことの優しさ」みたいな感じ。部屋の壁紙みたいな。

— その感じって、『AFTER HOURS』であり『TAKE CARE』からも感じられる感覚かもしれないですね。

夏目:ホントに何でもない、目に見えないもの、活字にならないものにも気持ちとか意志があって、それをオルタナティブでポップな作品にするっていう感覚は、自分たちもやりたいところだって思いますね。

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『ユースカ』第2号

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シャムキャッツ『TAKE CARE』(CD+イラストブック)

シャムキャッツ『TAKE CARE』(CD+イラストブック)

2015年3月4日(水)発売
価格:1,933円(税込)
P-VINE RECORDS / PCD-18785
1. GIRL AT THE BUS STOP
2. KISS
3. CHOKE
4. WINDLESS DAY
5. PM 5:00

イベント情報

シャムキャッツ『TAKE CARE』RELEASE TOUR
2015年3月27日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:広島県 4.14

2015年3月28日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:福岡県 天神 VOODOO LOUNGE

2015年4月4日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:愛知県 名古屋 得三

2015年4月5日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:大阪府 梅田 Shangri-La

2015年4月11日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:北海道 札幌 ベッシーホール

2015年4月17日(金)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

料金:各公演 前売3,000円(ドリンク別)

BRAND INFORMATION

シャムキャッツ

シャムキャッツ

4人組のロックバンド、シャムキャッツ。2009年春、1stアルバム『はしけ』をリリース。その後、自主制作で次々と発表したCD-R作品は全てSOLD OUT。2012年冬、P-VINE RECORDSより2ndアルバム『たからじま』をリリース。収録曲“SUNNY”がテレビ東京系『モヤモヤさまぁ~ず2』のエンディング曲に起用される。2014年の3月、最新アルバム『AFTER HOURS』をリリースし、渋谷CLUB QUATTRO公演を含む全国ツアーを開催し大成功を収める。また、アルバムの好評を得て“MODELS/LAY DOWN”を7インチ・アナログとしてシングルカット、更には“AFTER HOURS”をLP化。10月には自主企画イベント『EASY』を成功させ、DeerhoofやMac DeMarcoなど海外アクトとの共演も重ねるなど、シーンの枠組みを超えた更なるブレイクが期待される。2015年3月4日に『AFTER HOURS』の「その後」を描いたニューミニアルバム『TAKE CARE』をリリース。全国6箇所のワンマンツアーを開催。
サヌキナオヤ

サヌキナオヤ

1983年京都生まれ。シャムキャッツ『MODELS』『AFTER HOURS』のアートワークや、ジオラマブックス発行の漫画誌『ジオラマ』『ユースカ』での漫画執筆など、イラストレーター / 漫画家として活動中。

OTHER FEATURES