「お金もなければ夢もなかった」 ゼロから始めた完全無所属バンドYellow Studsの逆転劇

2003年に結成され、すでに10年以上のキャリアを誇る5人組Yellow Studs。ビシッとスーツに身を包んだアーティスト写真からも想像がつくように、彼らはジャズやロカビリーなどを軸とした、男くさいロックンロールを鳴らすバンドである。しかし、彼らがバンドの運営をほぼ全て自らこなす、「完全無所属バンド」であることは、アーティスト写真からはなかなか想像できないだろう。

結成当時はお金もなく、特別な夢もなく、「メジャーと契約できたらいい」ぐらいに考えていたというが、現実の壁を知ってからは、バンドの運営を必死に勉強し、営業や宣伝も自ら行ってきた。その分、心身への負担は大きく、実際にメンバーが倒れることもしばしばあったというが、彼らはそれでも歩みを止めることなく、ひたすらに活動を続けてきたのである。その結果、昨年は自主制作のバンドとしては異例なCMへの楽曲提供を行い、最新作『ALARM』のリリースツアーファイナルは、下北沢GARDENを見事ソールドアウト。徐々に活動の規模が拡大する中、3月28日にはチリヌルヲワカとUHNELLYSを迎え、自主企画『方位磁針』を開催する。今後の行く末を指し示すであろうイベントを前に、バンドの哲学を野村太一(Key&Vo)と植田大輔(Ba)に語ってもらった。

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作(2015/3/13)

やめないことよりも、やめることの方が俺らは怖いんですよね。(太一)

— Yellow Studsは、植田さんと奥平(隆之 / Gt)さんがバンドをやるために上京してきて、居酒屋のバイトで太一さんと出会って結成したそうですが、太一さんは当時結構荒れた生活をしていたとか……?

太一(Key&Vo):僕だけじゃなくて、基本みんなダメ人間なんですよ。まぁそんな多くは語れませんが……(笑)。

Yellow Studs
野村太一(Key.Vo.)

— でも、太一さんは小さいころからピアノをやっていたそうで、男の子でピアノやってるっていうと、実は優等生だったんじゃないかって気もするんですけど?

太一:ピアノを習ってるのが恥ずかしくて、ずっと内緒にしてましたね。オカンがどういうわけかピアノを習わせたかったらしくて、3人兄弟のうち俺だけやめさせてくれなかったんですよ。

— 何でだったんでしょうね?

太一:……才能があったんですかね?(笑) でも、ずっと恥ずかしかったんで、中学3年の合唱コンクールで初めて人前で披露したのを機にやめて、ギターに行くんですよ。それからしばらくしてYellow Studsを組んでから、またやり始めたんです。

— Yellow Studsを組む前はどんな生活だったんですか?

太一:高校くらいの年齢って、イケてるやつとイケてないやつに分かれますけど、たまにそのどっちでもない、どうしようもないやつっていうのがいて、俺はそれでしたね。バイク大好き、ギター大好き、でも勉強も一応ちゃんとやってるっていう。ただ何となく「サラリーマンにはなりたくない」と思って、大学全部蹴って……アホだったんでしょうね。

— そこから変わるための手段がバンドだったのでしょうか?

太一:当時はそこまで考えてなかったと思います。植田くんはバイトリーダーだったんですけど、出会って2~3年してバンドに誘ってくれたので、「やってみようかな」ってぐらい。

植田(Ba):もともと太一をボーカルとして誘ったわけじゃなくて、ピアノが弾けるって聞いたんで、「遊びでスタジオ入ろうよ」みたいな感じでしたね。

Yellow Studs
植田大輔(Ba.Cho)

太一:だから、最初は趣味っすよね。でも、4~5年やって30歳が見えてきたころに、「もう後戻りできないぞ」って思ったんです。それに、ライブをやると、「かっこよかったです」って言ってもらえたり、たまに泣いてる人とかもいて、「なんだろうね? これ」って思うようになって。だんだん誰かが「かっこいい」って言ってくれるなら、もうそれだけで僕らやめられないなって思うようになってきたんですよね。

— 周りに突き動かされた部分が大きかった?

太一:周りは無責任に「やめないで」って言うわけですよ(笑)。ただ、実際やめないことよりも、やめることの方が俺らは怖いんですよね。なので、応援してくれる人たちから学びながら、一緒に育ってきたって感じですね。

— 植田さんは地元にいたころから「音楽で食って行こう」と思っていたわけですか?

植田:いや、高校時代から楽器は触ってたんですけど、よくいる「買ってはみたものの、ほとんど練習しない」っていうタイプでした。だから正直、そこまでバンドをやりたいと思ってたわけでもないんですけど、ギターが幼馴染で、そいつに「東京行ってバンドやろう」って言われて、特にやりたいこともなかったから、「じゃあ、一緒に東京行ってみようかな」っていう、ホントそのぐらいでしたね。

Yellow Studs

太一:俺らの世代って、みんな「東京に行けば何かいいことあるだろう」って感じで上京してくるんだと思うんですよね。それで、24~25ぐらいでだんだんやりたいことが見えてきて、昔はメジャーデビューっていうのがひとつのゴールだと思ってたんです。でも、周りのメジャーに行ったバンドが結局2年で解散したりして、やっぱりレコード会社とかマネージメントとか、誰かに助けてもらって生きていこうっていうサラリーマン根性じゃダメだなって思って。もちろん、メジャーを批判するつもりは全然ないけど、自分たちは自分たちのやり方でやろうと思って、とにかくいろいろ勉強しました。JASRACから流通からマーケティングから、ベンチャーで起業した友達に営業の仕方を教えてもらったり、そうやってバンドを続けてきたんです。

マグカップ「NOMIHOSE」

マグカップ「NOMIHOSE」

Yellow Studs
¥1,944
Yellow Studs『Alarm』

Yellow Studs『Alarm』

2014年6月18日発売
価格:2,000円(税別)
1.コメディ
2.脱線
3.秋晴れの空
4.僭越ながら
5.トビラ
6.ヘイママ
7.鶴の恩返し
8.百人町
9.SNS
10.生きてるフリ
11.また会おう
12.飴と鞭

イベント情報

Yellow Studs presents 『方位磁針』
2015年3月28日(土)
OPEN 17:30 / START 18:30
会場:代官山UNIT
出演:Yellow Studs、チリヌルヲワカ、UHNELLYS
DJ:ジャックサトシ / 渋川清彦(KEE)
料金:前売 3,000円 / 当日 3,500円
イベント詳細ページ

BRAND INFORMATION

Yellow Studs(いえろーすたっず)

Yellow Studs(いえろーすたっず)

ジャズ、昭和歌謡、ガレージ等の要素を取り入れたオリジナルなスタイル、繊細かつダイナミックなスケールで展開される絶妙なアンサンブル。等身大の感情が剥き出しの詩とヴォーカルの独特なしゃがれ声が織りなすピアノロックは聴く者の心を射抜く。 2003年結成、2014年6月にリリースした最新作「ALARM」を含め、これまでに7枚のアルバムをリリース。2013年と2014年のツアーでは、2年連続で9割の会場がSOLD OUTし、近年では、全国のライブハウスやイベントから出演オファーをもらうことが増え、年間70本以上のライブを行っている。各メディアでMVの放送、映画の挿入曲制作や松田翔太出演KIRIN氷結ストロングのテレビCMに楽曲提供するなど、活動の場は広がっている。

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