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nhhmbaseインタビュー みんなが待望した異才バンドの帰還

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作(2013/6/13)

00年代の中盤、東京のライブハウスで一番面白かったのは、間違いなく渋谷O-nestだった。エモーポストロックの文脈から派生したオルタナティブなバンドが質・量ともに充実し、海外のバンドも頻繁に来日するなどして、夜な夜な熱いステージが繰り広げられていたのだ。そして、その熱狂の渦の中心にいたのが、本稿の主役であるネハンベースだった。中心人物のマモルによって、シンプルなフレーズが複雑に組み合わされた幾何学模様のような楽曲に加え、爆発的なライブも話題を呼んで、2006年にセルフタイトルのミニアルバムでデビュー。続くフルアルバムでの本格的なブレイクを、誰もが期待していた。

しかし、ミニアルバムから約2年が経過した頃に発表された初のフルアルバム『波紋クロス』は、メンバーすら思いもよらなかった形でレコーディングが行われた作品となった。なかなか完成に至らない制作の中で、プロデューサーが一発録りでの録音を指示、5日間でレコーディング、ミックス、マスタリングの全行程を終了し、全編モノラルミックスという実に大胆な作品となったのだ。この結果にマモルはかなり戸惑ったようで、当時CINRAでもインタビューを試みたものの、バンドにとってプラスになるとは思えない内容だったために掲載を中止、代わりに1万字に及ぶロングレビューを掲載したこともあった。結局バンドはその後のツアーをもってマモル以外のメンバーが脱退、実質的な解散となる。それはまさに、ひとつの時代の終わりを見るようであった。

あれから5年、その後も何度かのメンバーチェンジが繰り返された末に、遂に新体制でのネハンベースの新作『3 1/2』が完成した。ますます洗練された構築美とポップさが同居する、「これぞネハンベース!」と呼ぶに相応しい楽曲を多数収録した、素晴らしい作品である。しかし、インタビュー中でも語られている通り、本作はマモルが一人で作り上げた作品であり、バンドは今も発展の途上にある。それでも、僕は彼らの帰還を素直に喜びたい。このアルバムと同日に発表されたSMAPのシングルに、赤い公園の津野米咲と凛として時雨のTKが詞曲を提供していることが象徴的なように、今は個性的な作家が様々な場面で求められている時代であり、マモルという異才の前線復帰は、そんな時代に必ずやフィットすると思うのだ。長々と書いてしまったが、これからの活躍に期待をしつつ、最後にこれだけは言わせていただきたい。おかえりなさい、ネハンベース!


最初は「建築なんてクソ喰らえ」ぐらいな感じで音楽をやってたんですけど、いざ作曲をやっていたら、「あれ? これもしかして建築と一緒じゃん」と思って(笑)。

— まずは、マモルさんの音楽の原体験を教えてください。

マモル:作曲をするきっかけになったのはTHE BEATLESなんですけど、音楽の初期衝動というか、「楽器をやりたい」「バンドをやりたい」って思ったのは、中学校ぐらいのときに従兄弟のお兄さんにRAMONESを聴かせてもらったときですね。それから高校でメタルバンドみたいのを組んで、流行ってたMR.BIGとかをやりつつ、大学に入って改めてTHE BEATLESを聴いて、曲を作ってみようかなって。

— 最初の最初はパンクだったんですね。

マモル:やっぱり簡単に気持ちよくなれるのがいいんですよね。単純で、テクニック志向でもないので、そこはネハンのコンセプトにもつながってるのかなって思います。

— 確かにネハンの音楽って、簡単なフレーズで組み立てられていますよね。

マモル:簡単なフレーズを組み立てて複雑に聴こえるようにするっていうことに、興味があるんですよね。

— THE BEATLESに関しては、表面的には非常にポップでありながら、曲によってはかなり緻密に作られていることに興味を持ったわけですか?

マモル
マモル

マモル:そうですね。曲をいざひも解いてみると、コード理論から逸脱してる曲が結構あったりして、その一筋縄ではいかないところにどんどんはまっていきました。それで、ジョージ・マーティンのストリングスやホーンのアレンジを聴いたりしてるうちに、クラシックとかも聴き出して、作曲の勉強をするようになって。そういう理論をちゃんと理解した上で、あえて外すっていう方向性を狙おうと。そのクラシックにはまり出した頃が、ちょうどネハンを始めたのと同時期だったんです。

— ネハンをやる前はよりアヴァンギャルドなバンドをやっていたそうですね?

マモル:「ブルーマン」っているじゃないですか? ああいうのをやってるパフォーマンス団体が大学の後輩にいて、そのバックでドラムとサンプラーを使って何かやるみたいな。ちょっとアート寄りな、かっこつけたことをやってたんです(笑)。そうしているうちに、もうちょっと売れ線の音楽をやりたいと思い始めてネハンを組んだんですけど、今思うと全然売れ線じゃなかったです(笑)。

— (笑)。でも、アートっぽいことをやるためにネハンを始めたわけではなくて、あくまで音楽的に面白いことをやった上で、売れ線というか、ちゃんとポップなものにしたいっていう考えがあったわけですよね。

マモル:そうですね。最初は弾き語りみたいなところから曲を作って、楽器とメロディーが絡むようにしていったら、変拍子になっちゃったみたいな、偶発的なものも多かったんです。でも、やっていくうちに、理論で曲を作るようになって、狙って変拍子にしたりするようになっていった感じです。

— ネハンの楽曲は非常に構築的で、数学的とも言えると思うのですが、数学とかもお好きでした?

マモル:僕は大学で建築をやってたんですけど、何かを建てるときには、「ここに柱がある理由」っていうのが絶対必要なんです。よく建築で、「造形のプロフェッショナルは、構造のプロフェッショナルでもある」って言うんですけど、ちゃんと構造をマスターした上で、造形を見せたいっていうのがあるんです。でも、力学の勉強とかすごく難しくて、途中で建築はあきらめちゃって。

— それで音楽の方にシフトしたと。

マモル:はい。なので、最初は「建築なんてクソ喰らえ」ぐらいな感じで音楽をやってたんですけど、いざ作曲をやっていたら、「あれ? これもしかして建築と一緒じゃん」と思って(笑)。それでまた建築の本とかを見るようになって、「この建物のこの形のイメージで曲にしてみよう」とかって考えるようになったんです。

— なるほど。ちなみに、当時は「ポストロック」っていう呼ばれ方をされることも多かったと思うんですけど、そういうのは実際聴いてたんですか?

マモル:人づてに教えてもらって「いいね」って思うものはあったんですけど、もともとそういうのが好きだったわけではないですね。ポストロックって、ギターはテクニック的なアプローチも多かったりするんですが、僕たちにその手法はできなかったんで(笑)。

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nhhmbase

2004年より都内を中心に活動を始める。問題作『波紋クロス』から約5年。拍点をずらし予想の斜め上を行く独特の数学的リズム解釈から生み出される唯一無二の絶妙の間と、転調を繰り返しながらもかろうじて調性を成す機能和声はさらに洗練され、nhhmbaseの構築の美学は新たな境地に達する。脱ポストロックシーンに布石を打つ大傑作を6月5日にリリース。各方面で拍が取れなくなる。

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