「かわいい」だけじゃダメみたい ふぇのたすインタビュー

これからは「楽しい」が時代を制す? アイドルからバンドまで繋がるゆるくてファニーな3人組

インタビュー・テキスト:柴那典 撮影:柏井万作(2014/5/13)

ここ最近の音楽シーンやアイドルグループの潮流を見ていて、肌感覚で気付いたことがある。ざっくり言うと、「切なさ」よりも「楽しさ」が共感を集めるようになってきた、という感覚があるのだ。もちろん人によって好む音楽のジャンルやスタイルは様々だし、これは個人的な見方だから同意しない人も多いかもしれない。ただ、去年あたりから世の中の景気の風向きが変わってきたのか、先行き不安な閉塞感を抱えて息苦しくなっているよりも、今を楽しむことに思いっきり注力するような人たちが増えてきたように思う。気のせいだろうか?
東京を中心に活動し、徐々に注目を集めつつある3人組、ふぇのたすのライブを観て感じたのも、そういうこと。80s直系のニューウェーブサウンドに、キャッチーなメロディー、ボーカル・みこのキュートな歌声が魅力のグループ。”東京おしゃれタウン”や”すしですし””ありがたす”などユーモラスな言葉づかいの楽曲で、脱力感と親しみやすさがたっぷりのステージを繰り広げる。ゆるくてファニーな、独特のムードを生み出していた。
ミニアルバム『胸キュン’14』をリリースした三人への初インタビュー。バンド結成の由来から、ふぇのたすならではの「楽しさ」と「かわいさ」の感覚について、語ってもらった。

(前身バンドの)phenomenonの音楽は自分に合わないし、ボーカルが失踪して入った次のボーカルがまた辞めるとかシャレにならないから、断りの電話を入れたんです。(みこ)

— そもそも、どんな経緯で始まったバンドなんですか?

ヤマモト(G,Syn):ざっくり言うと、加茂さん(加茂啓太郎 /ユニバーサルミュージックの新人開発セクション「GREAT HUNTING」のチーフプロデューサー)の紹介ですね。以前は(澤”sweets”)ミキヒコとphenomenonというバンドをやっていたんですけど、メンバーが失踪したり、辞めたり、いろいろあって。で、みこは一人でシンガーソングライターをやってたんだよね。

“phenotas”
ヤマモト(G,Syn)

みこ(Vo):でも、ずっとバンドがやりたかったんですよ。

ヤマモト:そう、それでタイミングよく紹介されて。phenomenonもボーカルは女の子だったんですけど、今みたいな打ち込みとかは使わずに、普通にギター、ベース、ドラムの編成で、もっとロックでしたね。髪も赤かったし(笑)。

みこ:しかも、革ジャン着てサングラス掛けていたんですよ! 初めて会ったとき、ミキヒコくんのことを怖い人だと思ってワナワナしてました(笑)。

ミキヒコ(Per):そんなことないですよ!(笑)

— どういうところで意気投合したんでしょうか?

ヤマモト:正直、最初は会ってすぐ「よし!」みたいな感じではなかったよね?

みこ:うん。最初は、ふぇのたすという新しいバンドをやるというより、phenomenonのボーカルになるという話だったから、(ヤマモト)ショウさんに断りの電話入れたんです。phenomenonの音楽は自分に合わないし、ボーカルが失踪して入った次のボーカルがまた辞めるとかシャレにならないし責任もとれないと思って。でも、その電話でショウさんに「じゃあ次の人が見つかるまでヒマなときだけ歌いにきて」って言われて。それで歌いにいっていたら、いつの間にかふぇのたすになってました。

“phenotas”
みこ(Vo)

— 騙されましたね(笑)。

ヤマモト:そうですね、騙したんです(笑)。時期的にもちょうど良かったんですけど、僕の音楽的な趣味が移行していくなかで、やりたい音楽がロックからふぇのたすのようなサウンドになっていったんですね。だからみこと面白いものが作れるだろうなという確信があって、今までのバンドとはやり方も全部変えた、バッチリみこに似合うような新しい曲を2曲作って、みこに聴かせたんです。それが最初のアルバムに入ってる”たす+たす”という曲と、”タイムトラブル”という曲です。

みこ:その2曲は自分も好きな方向性だったし、最初にスタジオで合わせたときも、「なんかいい歌だな」と思いながら歌った記憶があります。でも、そのときもまだ本気にはなってなかったかな。

ヤマモト:でも、ちょっと気持ちは変わったでしょ?

みこ:うん。ちょっと変わった。

“ありがたす”以降、僕らもお客さんも、とにかく言葉の最後に「たす」って上手くつけたいみたいな感じになってるんですよ。(ヤマモト)

— みこさんが本気になったきっかけの曲は?

みこ:きっかけの曲は”スピーカーボーイ”ですね。この曲ができたあとに、でんぱ組.incとかタルトタタンとかハナエちゃんとかHAPPY BIRTHDAYが出るライブイベントのオープニングアクトに呼んでもらって。

— いいラインナップのイベントですね。

ヤマモト:その時点でライブはまだ3回目くらいだったので、ありがたかったです。

みこ:私たちは物販で、お客さんが値段を決める「投げ銭CD」っていうのを売ってるんですけど、そのライブが終わったあと、平均500円くらいで100枚くらい売れたんです。そこで「これはヤバいわ!」と思って、本気になろうと思いました(笑)。それが2012年の年末ですね。

— 元々やっていたのがphenomenonというバンドだから、ふぇのたすというバンド名になった?

ヤマモト:そうですね。「phenomenon +(プラス)」です。

— でも、その「たす」という言葉って、マジックワードになってますよね。今回のアルバムにも”ありがたす”という曲があるし。この言葉はどんなきっかけで生まれたんでしょう?

ヤマモト:何のきっかけだったかは忘れたんですけど、”ありがたす”って言い出したんですよね。

みこ:最初はなんかギャグみたいな感じだったよね(笑)。

— POLYSICSがステージでよく「TOISU!」って言うじゃないですか。あれも最初は打ち上げで飲んでるときに生まれた乾杯の合図だったらしいんですけど。そういう感じ?

ヤマモト:ほぼそんな感じですね。スタジオとかで軽いノリで言ってただけなんですけど、僕がそれをこっそり曲にして、ある日突然「“ありがたす”って曲ができたからこれをやろう」って。それが2013年の頭くらいですね。いまでもライブでほぼ必ずやるんですけど、一番盛り上がるんですよ。みんなで「たす!」って言って飛ぶんです。「たす」ジャンプ(笑)。オマージュですけど。

— ははははは! X JAPANの「Xジャンプ」とちょっと角度が違うっていうね(笑)。

ヤマモト:お客さんに感謝の気持ちを直接伝えるのは恥ずかしいけど、そういう気持ちは強かったから、“ありがたす”って曲で表現できてホント良かったです。しかもこの曲以降、僕らもお客さんも、とにかく言葉の最後に「たす」って上手くつけたいみたいな感じになってるんですよ。

みこ:みんな言ってくれるよね。「今日のライブは楽しかったす!」とか(笑)。

iPhone5/5Sケース「ふぇのたす 胸キュン’14」(クリア)

iPhone5/5Sケース「ふぇのたす 胸キュン’14」(クリア)

¥3,024
ふぇのたす『胸キュン'14』(CD)

viBirth × CINRA presents 『exPoP!!!!! volume75』

2014年5月29日(木)
会場:
TSUTAYA O-nest
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:入場無料 (without 2Drinks) 出演:ふぇのたす、失敗しない生き方、Babi and more!!!!!

■チケットのご予約は以下のページで承っています
※ご予約の無い方は入場できない場合があります。ご了承下さい。
PC:http://expop.jp/75.php
Mobile:http://expop.jp/m/75.php

■各出演者の詳細・試聴はこちらから
http://expop.jp/schedule/75.php
¥2,000(税込)

BRAND INFORMATION

ふぇのたす

ふぇのたす

2012年、ボーカルを探していたメンバーがSSWとして活動していたミコと知り合い結成2013年に1st mini album『2013ねん、なつ』をリリース。プロ書評家の吉田豪氏など耳に早い関係者に絶賛される。ライブハウスのみならず、アイドルイベント、同人音楽のイベントにも参加するなどボーダレスな活動を行う。同年12月24日渋谷TSUTAYA o-nest にて初のワンマンライブを開催。2014年5月14日、2nd mini album 『胸キュン‘14』をリリース。6月13日には渋谷WWWでワンマンライブを行う。

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