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Qi Fang×田代敏朗対談 東京で活動する北京ガールが、美術家と語り合う等身大の想い

これまでは苦手だったけど、やはり自分のなかに「中国」は息づいている。なので、非常に難しいですけれど、その困難さも含めて楽しんで「中国」に挑戦していきたいですね。(Qi Fang)

— それでは最後に、お二人の今後について聞かせてください。

田代:もっと大きな作品や、染色などにも挑戦してみたいと考えていて、近いうちに山梨へアトリエを引っ越す予定なんです。そこで、いまの平面作品を超えるものを作りたいと思っています。ただ、その物件は家賃が安いので、そこをキープしつつ、たとえばドイツなどにも行けるかなと。居場所をフィックスせず、各地を1〜2ヶ月ごとに回っていくような制作のかたちを模索中です。

— それは日本のアートシーンに限界が感じるからですか?

田代:いや、「日本がダメだから海外に行く」という考えではないですね。拠点を移せばすべてが解決するというのは、僕は幻想だと思っていて、実際「売る」ことだけを考えるなら、東京にいながらにして世界中のマーケットを相手にすることもできるわけです。ただ、ネットの発達によって世界のどこでも作品画像は見られるようになった反面、生の絵に触れてもらう機会は減っているように感じていて。だから、作品を実際に体験してもらえるようなアクションを起こしていきたいということなんです。

Qi Fang×田代敏朗

Qi Fang:このあいだも田代さんには言ったのですが、香港をはじめとした中国にはぜひ足をのばしてみるといいと思います。いま中国人はすごく裕福になっていて、アートを買うことがブームなんです。日本には、絵を家に飾る習慣ってあまりないじゃないですか? 中国人は意外と美術への親しみもありますし、複製だけれど部屋に絵を掛けてもいる。田代さんのような人が絵を見せに行ったら、すごく喜ばれると思いますよ。

田代:ありがとう。中国はもちろんだし、インドネシアのような東南アジアにもいますごく可能性を感じているので、ぜひ挑戦したいですね。一方で、今回のお菓子のパッケージのような、デザインとのコラボレーションもどんどん行っていきたい。そうした領域には、一般の人たちの生活に溶け込み残っていく、大きな可能性があると思うので。

Qi Fang×田代敏朗 Qi Fang×田代敏朗
ひよ子「DOUX D’AMOUR」商品画像

— 何十年も先まで、田代さんの手がけたパッケージが使われ続けたら素敵ですね。Qi Fangさんはいかがでしょうか?

Qi Fang:いま自分のなかでは中国ブームなんです。私が活動の拠点に日本を選んだのは、日本文化にある「侘び寂び」や「切なさ」のような、微妙な感情のニュアンスがとても好きだから。たとえば「切なさ」という言語表現って、中国語にも英語にもないんです。「悲しみ」でも「怒り」でもなく、すごくポジティブでもネガティブでもない。そうした感情をわかってもらえることが、自分の活動のベースとしてとてもよかった。

— 感情のグラデーションのなかに、日本人が感じることの得意なある部分があって、それが自分の表現したいことと合致していたということですね。

Qi Fang:そうです。そこには自分の学生時代の経験が生きている。ただ、普段は新しいものに飛びつきがちで、自分のもっと深いルーツを振り返る機会って少ないですよね。私は今、「中国」というものに対してそれをやろうとしていて。

— 中国に、面白い音楽シーンが生まれていたりもするのですか?

Qi Fang:面白いシーン、たくさんありますよ。たとえば台湾の若手歌手のジャム・シャオは、最近すごく好きです。もうデビューして8年目ですが、とにかく歌が上手いし、自分で作詞作曲からプロデュースまでを手がけ、それまで中国にあまりいなかったシンガーソングライターという歌い手のあり方を示した点も重要です。

Qi Fang×田代敏朗

— なるほど。ただ、今日のお話でも日本とはかなり異なる社会であることがわかりましたし、そこで音楽活動をするのはなかなか難しい挑戦になりそうですね。

Qi Fang:そうですね。中国はいまだにコネの社会ですし、多くの国民もブランドものが好きで、メディアが喧伝したものをそのまま信じてしまう素朴な一面がある。価値が多様化している日本とはまったく違っていて、こちらでのプロモーションのノウハウが通用しないので、正直、展開の仕方がぜんぜんわからないんです(笑)。でも最近、中国のテレビや音楽に意識的に触れているのですが、そうすると、やはり響き合うものがあるんですね。これまでは苦手だったけど、やはり自分のなかに「中国」は息づいている。なので、非常に難しいですけれど、その困難さも含めて楽しんで挑戦していきたいですね。

「田代 敏朗 オリジナルノートブック」

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田代 敏朗
¥2,160
「Qi Fang オリジナルトートバッグ」

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Qi Fang
¥1,080
Qi Fang『Exhibition #1』

Qi Fang『Exhibition #1』

2015年4月15日発売
価格:2,970円(税込)
WOOLY ARTS
1. Exhibition #1
2. Wait
3. Calling
4. Once
5. Step
6. Color
7. Only
8. Measure
9. interlude
10. 九份
11. Print
12. Waltz

イベント情報

『GARO ROMANCE 2015』~ unevision de cet écho qui résonne en moi ~ 『ガロロマンス2015 』 ~ 体の中でずっと鳴る音~
2015年5月1日(金)〜 5月24日(日)11:00〜18:00
会場:NICA: Nihonbashi Institute of Contemporary Arts
料金:無料

出展アーティスト
田代 敏朗
SABRINA HORAK
NORIKO TAKEMORI

http://nicatokyo.com/program/3839/

BRAND INFORMATION

Qi Fang(ちーふぁん)

Qi Fang(ちーふぁん)

シンガーソングライター。北京生まれ。L.Aで音楽を学ぶ。現在は東京、福岡、N.Yなど拠点に活動中。中国語、英語、日本語を操り伸びやかな美しい歌声で多くの人を魅了し続けている。LOVE FMで「2011年最も印象深かったOA曲」に選ばれる。2012年10月iTunesで初配信した曲「Original」がiTunes vocalチャート1位を記録。2014年には福岡のサンセットライブに初出演を果たした。現在2つのラジオ番組、LOVE FMペルソナリージ~お気に召すまま~ (日曜14:40-15:00 )と、FM横浜 SUNDAY POCKET(日曜25:00-25:30)にポパイ発行人石渡健文氏と出演中。最新アルバム「Exhibition #1」はブルータス、ポパイ、ブルータスカーサ、ターザン、ナイロンジャパン、ミュージックマガジンに掲載される。5/24(日)15:00より、池袋タワーレコードにてインストアライブを開催。
田代敏朗(たしろとしあき)

田代敏朗(たしろとしあき)

大阪芸術大学映像学科。1980年佐賀県生まれ。佐賀県展洋画の部において史上最年少16歳で首席(県知事賞、山口亮一賞)受賞を皮切りに、数々のアワードにおいて受賞。上野の森美術館大賞展(2010)、トーキョーワンダーウォール(2011)、トーキョーワンダーシード(2012)。主な展示に六本木ヒルズ森アーツセンター「ARTIST BY ARTIST」(2003)、京都建仁寺「現世美術館展」(2006, 2008)等。2014年秋、ひよこ本舗の新商品でのコラボレーションに抜擢、注目を浴びる。

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