Kidori Kidoriインタビュー 英語とスペイン語も操る彼らが知る、日本語でしか表せない郷愁

Kidori Kidoriというバンドは、音楽を文化として捉え、その土壌を豊かにしようという意思を持ったバンドであり、その意味においては、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやthe telephonesの系譜に連なるバンドだと僕は思っている。日本におけるガレージ~ポストパンクリバイバル後期の2011年にデビューを果たした彼らは、その音楽性はもちろん、レベルミュージック的な資質を持ったリリックの内容も合わせて人気を獲得し、昨年大阪から上京。しかし、その直後にベーシストが失踪~脱退し、激動の時期に東京で感じた「郷愁」を作品として表したのが、3rdアルバム『![雨だれ]』なのである。

本作のポイントは、これまで英詞を中心としてきたKidori Kidoriにとって、初となる全曲日本語詞のアルバムであるということ。また、音楽的にもエクレクティックかつエキゾチックなポップスとしての色合いが濃くなり、フロントマンのマッシュが以前から影響を公言していた細野晴臣や、最近だとceroのアルバムにも通じる感覚を持っている。そう、今再び「エクレクティック=折衷的」であることが、時代に求められているように思う。つまり、差異を認識し、認め合うことの重要性が再び問われているということであり、これは「なぜ洋楽を聴く必要があるのか?」という問いに対する明確な解答のひとつでもある。文化というのは、他者を排除するのではなく、手を取り合って形作られていくものなのだ。

インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:矢島由佳子(2015/06/15)

違和感とか、考えるきっかけを与えることで、それがいずれ何かを変えることにつながるんじゃないかって考えてたんですよね。

— 新作は初の全曲日本語詞が特徴ですが、そもそもなぜ昔は英語で歌っていたのでしょうか?

マッシュ:1stアルバム(2011年)を出す数年前にARCTIC MONKEYSとかが人気があって、日本でもUKロックっぽい音楽をやろうとした人たちが大勢いましたけど、僕も憧れがあったんですよね。僕は5歳までイギリスにいたのもあって英語はある程度話せたんですけど、英語は強弱アクセントがあると言われるタイプの言語だから、2拍目と4拍目にアクセントがあるロックにハマる必然性を感じたし、さらにそこに韻が加わることで強烈な快感を与えられると思って。

Kidori Kidori
マッシュ(Vo,Gu)

— 洋楽に対する憧れと、音楽的な機能性が大きな理由としてあったと。

マッシュ:あとは自分の思想をできるだけ濃く出したいと思ってたんですけど、日本語だとどうしても説教っぽくなっちゃうから、それはちょっと違うなって。僕がやりたかったのは、自分の思想をちゃんと出して、その上でかっこいい音楽だったんですよね。

— 初期はレベルミュージック(社会や権力への反抗を込めた音楽)的な側面があったと思うんですけど、それはどこがルーツになっているんですか?

マッシュ:最初に感動した洋楽はRAMONESで、その流れでパンクを掘って、THE CLASHとかSEX PISTOLSを聴いてました。反体制というか、人を奮い立たせるようなことを歌っているのが衝撃だったんです。その後にRAGE AGAINST THE MACHINEとかSYSTEM OF A DOWNとか、より政治思想の強いバンドを聴いたんですけど、僕がKidori Kidoriを組んだ19歳の頃ってちょうど政治とか社会的なことに目が行く年齢で、「こういうのがロックだ」って思ったんですよね。聴いた人をやる気づけて、素敵な日常みたいなものを取り返してもらえるといいなって気持ちがあったんだと思います。

— 年齢的なこと以外にも、レベルミュージックに惹かれた理由がありましたか?

マッシュ:教員志望だったことも関係してるのかも。「みんなが幸せに暮らせればいいのに」って思うんですけど、そう考える人が周りに少ないのは、教育の問題だと思ったんです。じゃあ、なんで教育に対して関心がいかない仕組みになってるのかを考えると、いわゆる「バビロン」(権力や力を持った人間が独占的な利益を持つ仕組み)ですよね。そこを何かしら変えたいという思想があって、そういうことを英語で歌ってました。まあ、嫌なガキって感じですね、Kidori Kidoriの初期は(笑)。

Kidori Kidori

— そういうある種の青さは魅力的ですけどね。

マッシュ:別に大きな何かを変えようとしていたわけではなくて、違和感とか、考えるきっかけを与えることで、それがいずれ何かを変えることにつながるんじゃないかって考えてたんですよね。

トートバッグS「![雨だれ]トート」

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¥1,944
Kidori Kidori『![雨だれ]』(CD)

Kidori Kidori『![雨だれ]』(CD)

2015年6月3日(水)発売
価格:2,400円(税込)
HIP LAND MUSIC / Polka Dot records / RDCA-1040
1. ホームパーティ
2. テキーラと熱帯夜
3. あなぼこ
4. コラソン
5. Tristeza
6. なんだかもう
7. 住めば都
8. !
9. 傘を閉じれば
10. アフターパーティ
¥1,728

イベント情報

『Kidori Kidoriと雨やどりワンマンツアー』
2015年6月20日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:大阪府 梅田 Shangri-La
2015年6月21日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
2015年6月28日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 代官山 UNIT
料金:各公演 前売2,800円(ドリンク別)

BRAND INFORMATION

Kidori Kidori(きどり きどり)

Kidori Kidori(きどり きどり)

マッシュ(Vo,Gt)、川元直樹(Dr,Cho)の2人組。2008年、地元・大阪は堺の幼なじみであった、マッシュ、川元直樹、ンヌゥの三人によって、「キドリキドリ」結成。 2011年7月に初の全国流通盤『El Primero』を自主レーベル「Polka Dot records」よりリリース。 2012年8月には2nd Full Album『La Primera』をリリース。リリース後に行われたレコ発が、各地でソールドアウトとなる。2013年7月にmini Album『El Blanco』をリリースし、バンド名の表記を「キドリキドリ」から「Kidori Kidori」へ変更。2014年1月に、活動の拠点を大阪から東京に移すことを発表。3月上旬、オリジナルメンバーであったンヌゥが失踪の末、精神疾患を患っていることが発覚し、療養のため脱退する。急遽、サポートベースに藤原寛氏を迎え、メンバー脱退後約3週間という短期間にもかかわらず、新木場STUDIO COASTでのイベントにて、スリーピース編成でライブを成功させる。同年8月には、初の連作となる『El Blanco 2』をリリース。2015年2月に、エッジのある英語詞ロックという今までのバンドイメージを覆す、日本語新曲と洋楽カバーで構成されたEP『El Urbano』をリリース。そして、2015年6月3日に最新作『![雨だれ]』を発売。

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