Kidori Kidoriインタビュー 英語とスペイン語も操る彼らが知る、日本語でしか表せない郷愁

「アメリカやイギリスだけじゃなく、南米に行くぐらいのバンドにならないと」って思うと、第三の言語であるスペイン語を使うことに意味があるはずだという仮説を持ってました。

— これまでのアルバムタイトルは全てスペイン語であることがKidori Kidoriの大きな特徴となっていました。なぜスペイン語に惹かれたのでしょうか?

マッシュ:学業でスペイン語を勉強していたんですけど、興味を持ったきっかけは、誰かから「スペイン語は3つ目の言語だ」と聞いたことだったと思います。英語と中国語の次に世界で使えるのがスペイン語だって。英語以外に新しい言語を勉強して、新しい世界に行ってみたいと思ったんです。

Kidori Kidori

— アルバムタイトルにスペイン語を使おうと思ったのはなぜですか?

マッシュ:日本発信で世界に行けるバンドになりたいと思ったんですよね。「アメリカやイギリスだけじゃなく、南米に行くぐらいのバンドにならないと」って思うと、第三の言語であるスペイン語を使うことに意味があるはずだという仮説を当時持っていて。

— その仮説は、その後証明されたのでしょうか?

マッシュ:Facebookで「いいね!」を押してくれる海外の方が増えていて、英語圏の方とかアジアの方ももちろん多いんですけど、スペイン語圏の方も結構多いんですよね。それはきっとタイトルで関心を持ってもらえたんだと思うので、一応仮説は実証されたのかなって思います(笑)。

— マッシュさんはフェイバリットの1人として、マヌ・チャオ(スペイン系フランス人の音楽家で、政治活動家としての側面も持つ)を挙げてると思うんですけど、彼がスペイン語に興味を持つきっかけになったというわけではない?

マッシュ:スペイン語を勉強してたからこそ、マヌ・チャオのメッセージが理解できて、より好きになりました。昔レコードショップで働いてたときに、上司に「パンクが好きです」って言ったら、マヌ・チャオを教えてくれたんです。「レベルミュージック」という言葉を知ったのもそこからで、「バルセロナミクスチャー」と呼ばれるスペインのレベルミュージックのシーンの人たちをよく聴いてたし、ワールドミュージックに興味を持ったきっかけもそこですね。カエターノ・ヴェローゾ(ブラジル出身、ボサノバ歌手として世に出たミュージシャン)とか、セカンドウェイブのボサノバの人たちを聴いたりしてました。

Kidori Kidori

— もう1人、細野晴臣さんもフェイバリットに挙げていますよね。今回全曲日本語詞になったことで、「細野さんの影響は大きいんだな」とすごく感じました。

マッシュ:大学のときに古い邦楽に魅力を感じた時期があって、はっぴいえんどの『風街ろまん』を聴いてみたら、「これはすごいな」と思って。しかも、クレジットを見てみたら、好きな曲は全部細野さんが作ったものだったんですよね。そこからいろいろ調べるようになって、ニューオリンズとかも知ったし、自分の世界をさらに広げるきっかけになった人です。

— バンドとしてはガレージやポストパンクのリバイバルに対する憧れからスタートしつつも、それからいろんな変遷を経て、今作でマッシュさんのルーツが浮き彫りになってきたようにも思います。

マッシュ:出るべくして出た感じはありますね。でも、日本語詞を作ったのはひょんなきっかけだったんですよ。制作に詰まったときに、サポートでベースを弾いてくれた藤原寛さん(元andymori)が「弾き語りで名曲を作ってみれば?」ってアドバイスをくれて、それで何となく日本語で作ってみたのが“テキーラと熱帯夜”だったんです。「日本語で歌って受け入れられるのかな?」って不安もあったんですけど、やってみたらいろんな人に褒めてもらえて。それで今回のアルバムは、全曲日本語にしてみようと思いました。

東京に来たからこそできたアルバムなのは間違いないです。

— きっかけは藤原さんだったけど、マッシュさんも言ってたように、日本語は「出るべくして出た」んだと思うんですね。上京して、メンバーの脱退があった激動の日々の中で、愁いの気持ちが生まれてきた。レベルミュージックという意味では英語である理由があったけど、愁いの気持ちを歌うのであれば、その必然性はないわけで。

マッシュ:そうですね。去年1年はホントいろいろあって、振り向いたらダメになると思ったので、「負けたくない」って思いながら、無理やり感情を高めてひたすら頑張ってました。でも、ふと一瞬「地元に帰りたいな」と思うこともあって、それで「郷愁」をテーマに作品を作ってみようと思ったんです。喜怒哀楽の「怒」以外の部分を表現したかったし、風景とか匂いを際立たせたいとも思ったから、それをやるなら日本語だなって。

— 東京ではわりと家に一人でいることが多いですか?

マッシュ:完全にそうですね(笑)。アクティブな趣味がないので、外に出る理由がないんですよ。たまに渋谷に行ってレコードやCDや本を買い溜めして、家で一人で楽しんでます。今回は曲を作ってた部屋の環境がもろに作品に出てると思いますね。僕が住んでいる家は築60年の木造建築で、湿気はすごいし、冬は乾燥するしで、ホントにボロ屋なんですよ(笑)。東京に来たからこそできたアルバムなのは間違いないです。

Kidori Kidori

— 楽曲がこれまでよりポップス寄りで、エキゾチックな要素が強くなったことも、日本語詞になったことが関係していると思いますか?

マッシュ:そうですね。細野さんっぽいことがやりたいと意識したわけではなくて、詞とメロディーに対するアレンジの必然性を求めたら、結果そうなった感じです。

トートバッグS「![雨だれ]トート」

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¥1,944
Kidori Kidori『![雨だれ]』(CD)

Kidori Kidori『![雨だれ]』(CD)

2015年6月3日(水)発売
価格:2,400円(税込)
HIP LAND MUSIC / Polka Dot records / RDCA-1040
1. ホームパーティ
2. テキーラと熱帯夜
3. あなぼこ
4. コラソン
5. Tristeza
6. なんだかもう
7. 住めば都
8. !
9. 傘を閉じれば
10. アフターパーティ
¥1,728

イベント情報

『Kidori Kidoriと雨やどりワンマンツアー』
2015年6月20日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:大阪府 梅田 Shangri-La
2015年6月21日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
2015年6月28日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 代官山 UNIT
料金:各公演 前売2,800円(ドリンク別)

BRAND INFORMATION

Kidori Kidori(きどり きどり)

Kidori Kidori(きどり きどり)

マッシュ(Vo,Gt)、川元直樹(Dr,Cho)の2人組。2008年、地元・大阪は堺の幼なじみであった、マッシュ、川元直樹、ンヌゥの三人によって、「キドリキドリ」結成。 2011年7月に初の全国流通盤『El Primero』を自主レーベル「Polka Dot records」よりリリース。 2012年8月には2nd Full Album『La Primera』をリリース。リリース後に行われたレコ発が、各地でソールドアウトとなる。2013年7月にmini Album『El Blanco』をリリースし、バンド名の表記を「キドリキドリ」から「Kidori Kidori」へ変更。2014年1月に、活動の拠点を大阪から東京に移すことを発表。3月上旬、オリジナルメンバーであったンヌゥが失踪の末、精神疾患を患っていることが発覚し、療養のため脱退する。急遽、サポートベースに藤原寛氏を迎え、メンバー脱退後約3週間という短期間にもかかわらず、新木場STUDIO COASTでのイベントにて、スリーピース編成でライブを成功させる。同年8月には、初の連作となる『El Blanco 2』をリリース。2015年2月に、エッジのある英語詞ロックという今までのバンドイメージを覆す、日本語新曲と洋楽カバーで構成されたEP『El Urbano』をリリース。そして、2015年6月3日に最新作『![雨だれ]』を発売。

OTHER FEATURES