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Kidori Kidoriインタビュー 英語とスペイン語も操る彼らが知る、日本語でしか表せない郷愁

フェスで盛り上がる音楽が悪だとは思わないですけど、「そればっかりになっちゃうのはどうなんだろう」って気持ちはある。

— 今って、音楽の構造を意識してより良いポップスを作ろうとしてる若いミュージシャンが増えていて、それはすごくいいことだと思うんですよね。

マッシュ:確かに音楽的に豊かになってきてる感じはありますよね。僕としても、今回は喜怒哀楽を歌った曲たちでもあるから、ちゃんと人の心に寄り添えるものじゃないとダメで、歌とメロディーはもちろん、ちゃんといい音楽を作りたいというのが一番大事にしたことでした。

— ディスコっぽいけど三拍子になっている“なんだかもう”とかは、構造的に面白い曲を作ろうという姿勢が表れてますよね。

マッシュ:これはリズムから作った曲なんですけど、「日本人は三拍子が嫌いだ」ということを何かで読んで、でも四つ打ちはみんな大好きだから、「混ぜたらどっちが強いんだろう?」って実験を一人でしてたんですよ。で、ふと我に返って、「俺、何してるんだろう……なんだかもう」って思ったときに、「“なんだかもう”って曲があってもいいな」と思って(笑)。なので、四つ打ちっぽいんだけど三拍子っていうのと、僕の中で都会的な音楽というとブラックミュージックだと思ったので、自分のブラックミュージックの引き出しを初めて開けて作ったら上手くはまりました。さらに、最後はサンバっぽくもなっていて、これが一番「Kidori Kidoriだな」って思う曲ですね。いろんな要素が入ってて、複合物として成り立ちつつ、ちゃんといい曲ができたかなって。

— 折衷的で面白い楽曲っていうのも、シンプルにいい音楽を追求していることの表れですよね。それが結果的に、「フェスで受ける音楽」とか「SNSで広がりやすい音楽」とかに対するカウンターになってるとも思います。

マッシュ:フェスで盛り上がる音楽が悪だとは思わないですけど、「そればっかりになっちゃうのはどうなんだろう」って気持ちはあって、前のミニアルバムのときは五拍子の曲を作ったりもしました。単純に、自由な発想を曲の中に落とし込むのがすごく楽しいんですよ。自分が確信を持ってやってることが一番強いと思うので、僕が正解だと思えばそれでいい。変に「ウケる、ウケない」は考えなくていいと思ったんです。もし今多くの若いミュージシャンが「自分がいいと思う音楽を作る」っていうことをちゃんとやっているんだとしたら、僕もその一人だと思います。

Kidori Kidori

— ただ、ポップス的ではありつつも、コンパクトなロックンロールのアルバムでもあるっていう、そこは間違いなくKidori Kidoriらしさだと思うんですよね。

マッシュ:そうですね。洗練されてるかというとそうでもないと思いますし。今回は素が出たアルバムだと思っていて、「こういう根本を持ってる人間なんです」っていうのがしっかり出せたと思うんですけど、僕自身が洗練されている人間ではないので(笑)。

— 部屋で一人でいる感じ、愁いの感じっていうのも、まさに素のままだと。

マッシュ:うん、ホント部屋に一人でいるし(笑)、愁いを感じる暗い人間だし、その一方では怒りもするし……。サイコロで例えると、今までは外から見える自分の面が限られてたけど、見えていない面も存在していて、その今まで見えていなかった面が、今回は正面に来てるっていう。つまり、今作で見えている正面はポップスかもしれないけど、もちろんロックの部分もある。Kidori Kidoriって、常に音楽性がごちゃ混ぜにはなってるんですけど、「Kidori Kidoriって何なの?」って言われたら、最終的にはロックだと思うんですよね。

変な垣根は作りたくないんですよ。もっとみんなが音楽に対してフラットに楽しめるような環境になればいいなって思います。

— タイトルを『![雨だれ]』にした理由を教えてください。

マッシュ:単純に、曲を作ってた1~2月の頃に雨がよく降ってたんですけど、精神的に追い詰められたときの雨ってかなり応えるんですよね。それで、雨をモチーフにすれば、郷愁の説得力が増すと思って。今回日本語で曲を書くにあたって、風景や匂いの描写をたくさん入れることで、その場所が見えてくるような感じにしたいと思ったんです。雨が降った後って、独特の匂いがあるじゃないですか? 本とかを読んでても、匂いの描写があると一気にその場所が見えてくるのがすごく好きなんですよね。

— なおかつ、それが「!」で表されているのも気が利いてますよね。

マッシュ:これまでずっとスペイン語のタイトルだったけど、歌が日本語である以上、世界に向けても説得力がない。だからといって、日本語のタイトルにするのも粋じゃないと思ったときに、曲の“!”ができて、アルバム全体においても象徴的なんじゃないかと思ったんです。もちろん変にリスナーを制限するつもりはないけど、今回は日本人に向けた意識が強いですね。今のシティポップの文脈の人たちと、ロキノン系の文脈の人たちって、あんまり交わってない気がするんですけど、Kidori Kidoriはそのどっちでもない感じがいい。変な垣根は作りたくないんですよ。どのジャンルにもはまらないことで、とっつきづらくなることは自覚してるんですけど、圧倒的な内容を用意すれば関係ないし、今回はそれができたんじゃないかと思ってます。

Kidori Kidori

— 今言ってくれたシティポップとロキノン系、さらには邦楽と洋楽とか、垣根を取っ払って混ぜたいっていう意識が強い?

マッシュ:もっとみんなが音楽に対してフラットに楽しめるような環境になればいいなって思います。なんで垣根ができるかって、単純に聴き方がわからないからだと思うんですよ。ロックと同じ耳でアンビエントを聴いたって、絶対つまらないじゃないですか? 音楽はフィジカルなものだけじゃない、感動を呼び起こしたり、笑いを生んだり、いろんなものがあるんだということを提示することで、垣根は勝手になくなっていくと思うんです。だから、「混ぜたい」っていう気持ちもあるけど、制作に関してはやっぱり「ただただいいものを作りたい」って、それだけですね。

— その時々でホントにやりたいことをやるからこそ、Kidori Kidoriは作品ごとにどんどん変化していくんでしょうね。

マッシュ:さっき「最終的にはロック」とも言いましたけど、「いろんな音楽をごちゃ混ぜにしていて、ヘンテコなんだけど、妙にスタイリッシュなやつら」っていうのが、今まで言われた中で一番ピンときた言葉なんですよね。「こういうバンド」って括られるよりは、「フラットにいい音楽を作るバンド」って言われたいです。

トートバッグS「![雨だれ]トート」

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¥1,944
Kidori Kidori『![雨だれ]』(CD)

Kidori Kidori『![雨だれ]』(CD)

2015年6月3日(水)発売
価格:2,400円(税込)
HIP LAND MUSIC / Polka Dot records / RDCA-1040
1. ホームパーティ
2. テキーラと熱帯夜
3. あなぼこ
4. コラソン
5. Tristeza
6. なんだかもう
7. 住めば都
8. !
9. 傘を閉じれば
10. アフターパーティ
¥1,728

イベント情報

『Kidori Kidoriと雨やどりワンマンツアー』
2015年6月20日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:大阪府 梅田 Shangri-La
2015年6月21日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
2015年6月28日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 代官山 UNIT
料金:各公演 前売2,800円(ドリンク別)

BRAND INFORMATION

Kidori Kidori(きどり きどり)

Kidori Kidori(きどり きどり)

マッシュ(Vo,Gt)、川元直樹(Dr,Cho)の2人組。2008年、地元・大阪は堺の幼なじみであった、マッシュ、川元直樹、ンヌゥの三人によって、「キドリキドリ」結成。 2011年7月に初の全国流通盤『El Primero』を自主レーベル「Polka Dot records」よりリリース。 2012年8月には2nd Full Album『La Primera』をリリース。リリース後に行われたレコ発が、各地でソールドアウトとなる。2013年7月にmini Album『El Blanco』をリリースし、バンド名の表記を「キドリキドリ」から「Kidori Kidori」へ変更。2014年1月に、活動の拠点を大阪から東京に移すことを発表。3月上旬、オリジナルメンバーであったンヌゥが失踪の末、精神疾患を患っていることが発覚し、療養のため脱退する。急遽、サポートベースに藤原寛氏を迎え、メンバー脱退後約3週間という短期間にもかかわらず、新木場STUDIO COASTでのイベントにて、スリーピース編成でライブを成功させる。同年8月には、初の連作となる『El Blanco 2』をリリース。2015年2月に、エッジのある英語詞ロックという今までのバンドイメージを覆す、日本語新曲と洋楽カバーで構成されたEP『El Urbano』をリリース。そして、2015年6月3日に最新作『![雨だれ]』を発売。

OTHER FEATURES