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Sugiurumnインタビュー バンドマンから転身し、世界で活躍するDJへ

自分もやっぱり何かのカウンターになるような発想が原動力になっているんだよね。

— まさにミニマルですね。では、そうやって受けた刺激がSugiurumnさんの活動にどんな影響を与えたんでしょう。

Sugiurumn:自分のパーティーを始めたりもしたんだけど、DJ的にもけっこう変化があった。まず、Traktor(DJ用のソフトウェア)を使うようになった。自分がいいと思ったDJがみんなTraktorだったんだよね。もちろん今でもレコードでやってる人もいるし、それもいいんだけど、俺は有機的な流れよりも、機械の歯車みたいにカチンとハマるようなものが好きでさ。

— プレイスタイルにも影響があったんですね。

Sugiurumn:うん。それに、さっきカウンターみたいな話があったけど、自分もやっぱり何かのカウンターになるような発想が原動力になっているんだよね。

— 何かしらの仮想敵が存在しているということですか?

Sugiurumn:敵と言っちゃうとアレだけどね。つまりピンポイントで誰かを指すんじゃなくて、世の中とかシーンとか、そういう広いものへのカウンターだね。

— イビザの話は僕も聞いてワクワクしました。一方で、国内の状況もここ数年で少なからず変化はあったと思うんですが、今の日本のシーンはどうですか?

Sugiurumn:俺、基本的にポジティブだし、あんまりグチグチ言うタイプでもないから、そのへんに関しては立ち位置的にもちょうどボーダーライン上にいつもいるような感じなんだ。だからよく誤解されるんだろうけど(笑)。でも、そんな自分から見ていても、やっぱりそこまで活気はない気がする。もちろん盛り上がってるところはあるけど、なんか、音楽に新しいものを求めてないというか。5、6年前とは明らかに違うと思う。

Sugiurumn

— どんな要因があるんでしょうか。

Sugiurumn:たぶん、誰でもDJができるようになったことの影響もあるんじゃないかな。もともとクラブってすごく敷居が高かったんだよ。それこそYELLOWのDJブースなんて誰も立たせてもらえなかったし。でも、どこのクラブにもそれぞれに独自性があった。今って東京中のクラブのコンテンツがどこも似てるよね。

— たとえば1990年代のダンスミュージックって、それぞれが競い合ってたところもあったと思うんです。「まだ誰もやってないものを自分が作ってやる」って。それを思うと、今の時代はそうやって競い合う感覚が薄くなっているのかもしれないですね。

Sugiurumn:確かにそうだよね。あと、これは世界的に言えることだけど、ダウンロードが主流になってからはアンセムみたいなものが生まれにくくなったよね。以前はすごい曲だと半年でも1年でもかかってたんだけど、今は曲の賞味期限が短くなった。

— その1年を象徴する曲みたいなものはあまり生まれなくなってるかもしれませんね。

Sugiurumn:たとえばレーベルのコンピなんかを聴くと、「あ、これはこの年らしい感じだね」みたいなものが確実にあったんだけど、今はそれがなくなったよね。今はDJだけでなく、誰でも曲が作れるようになったし。

今回は「自分にしか作れないアルバムを作る」ことが、ひとつのテーマではあったと思う。だからDJとしてではなく、とにかく一ミュージシャンとして作った。

— そうなると、Sugiurumnさんの楽曲制作に向ける意識も変化していきそうですね。

Sugiurumn:そうだね。ただ、こうやってレーベルを始めたのと、今回のアルバムを出すことは、また別の話なんだ。というか、ちょっと相反している部分もある。アルバムに関しては「これ、DJはどういうふうにかけるの?」っていう感じだろうし。

— アルバムは、クラブトラックというより、歌ものになっていますね。それぞれ別のモチベーションがあったということですか?

Sugiurumn:うん。だって、こういうアルバムって間違いなく俺にしか作れないでしょ? Electric Glass Balloonみたいなバンドから始めて、そこからDJになった人にしか作れない音楽だと思うし、少なくとも思い立ってすぐに作れるようなものじゃないと思うんだ。その音楽がどうやって成り立ってて、どういうカルチャーから生まれた音楽か、ちゃんと理解していないと、やっぱり嘘っぽくなっちゃうんだよね。

— それまでに培ってきた音楽的背景があって、初めて作れるアルバムだということですね。

Sugiurumn:そうだね。だから今回は「自分にしか作れないアルバムを作る」ことが、ひとつのテーマではあったと思う。もちろん俺にも「DJとしてこうあるべき」とか「自分がお客さんだったら」みたいに考えることはあるよ。でも、このアルバムに関しては、そういう発想はあんまり入ってないんだ。とにかく一ミュージシャンとして作った。Sugiurumnを始めた頃は、それまでのバンド活動とはばっさり切り離してやっていこうと思ってたんだけど、実は自分が好きなものって、基本的にはその頃とそんなに変わってないんだよね(笑)。今でもバンドの音楽はよく聴くし。

— 1曲目なんてThe Smithsみたいですよね。ロックも含めて、Sugiurumnさんのバックボーンがここで一気に総ざらいされている作品だと思いました。

Sugiurumn:うん。またリッチーの話だけどさ、彼が自分でパーティーを続けている目的は、自分と似た人を探すためなんだって。俺もホントにその通りだと思う。自分と似た価値観の人にこの音楽を届けたいし、そういう人達を探しているんだよね。だからDJって、お客さんに合わせていくんじゃなくて、「これに合わせてくれ」っていう強い気持ちも見せないと、チャラくなっちゃうんだ。それは作品にしてもそう。今回のアルバムはすごく開かれているけど、それでもセルアウトしてないのは、そういう信念があるからなんだ。

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Sugiurumn(すぎうらむ)

Sugiurumn(すぎうらむ)

世界最先端のハウスシーンと常にリンクする唯一無二の日本人DJ/プロデューサー。 2004年にリリースしたアルバム『Our History is made in the night』が日本のダンスシーンで大きく注目され、アルバムからシングルカットされた「Star Baby』が大ヒット。2006年に世界最高峰のクラブ、Pacha IbizaのミックスCDのDJに選ばれPachaのメインフロアで4,000人のクラウドをロック。Pachaから絶大な信頼を受け、それから3年連続で毎年Pacha IbizaのMix CDを手掛けている。 2007年、AVEXに移籍し『What time is summer of love?』をリリース。アルバムからのシングル「Travelling」は世界中のレーベルからライセンスのオファーが殺到。2013年4月シリアスなダンスミュージックを世界に発信するBASS WORKS RECORDINGSをスタートさせた。そして7月24日、ワーナーミュージックより、6年振りとなるオリジナルアルバムを『May The House Be With You』発売する。クラブミュージック、その先のビートはきっと彼が教えてくれるだろう。

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