夏季休業のお知らせ

Sugiurumnインタビュー バンドマンから転身し、世界で活躍するDJへ

今回の人は全員パンクだよ。ぶれてないし、長いものに巻かれてない。そういう一筋縄ではいかない人たちと、俺もこうやって一緒にできるようになったんだ。

— 参加ミュージシャンについてもっと訊かせてください。dipのヤマジカズヒデさんに関してはどうですか。

Sugiurumn:ヤマジさんは俺が高校生の頃からdip the flagっていうバンドを既にやってて。それがdipになった頃にElectric Glass Balloonも活動を始めて、対バンしたこともあったんだよね。普通に考えたら、ヤマジさんとこうして一緒にやるなんて、とんでもないことだよね。今回って元々は前作の『What time is summer of love?』の日本版みたいなものを作りたいなと思ってたんだよ(『What?』は参加ミュージシャン全員が海外アーティスト)。自分たちがバンドを始めた1991-92年頃って、日本にもけっこうすごい動きがあったからさ。

— 確かにこうして参加者の名前を並べると、ひとつの時代が見えてきますね。

Sugiurumn:完全にそうだよね。あと、今回はElectric Glass Balloonの筒井(朋哉)くんが何曲かギターを弾いてくれてるんだ。バンドを辞めて以来、10年ぶりくらいに電話したんだよ(笑)。そうしたら、やっぱりうまくなってた。みんな成長してるんだよね。

— なぜこのタイミングで筒井さんを誘ってみようと思ったんですか。

Sugiurumn:だって筒井くんはThe Smithsが好きだからさ。ジョニー・マーみたいなギターを弾ける人って、彼くらいしかいないと思うんだよね。

— 自分の求めているサウンドを考えたときに浮かんだのが筒井さんだったんですね。

Sugiurumn:そう。あくまでも音楽的な理由で呼んだわけで、ノスタルジーとは違うんだ。あと、今回はベズ(Happy Mondays)も参加してくれたんだけど、彼なんてさ、「ギャラ払うよ」と言ったら「え、金までもらえんの?」だからね(笑)。

— いい話(笑)。参加できるだけで最高だと。

Sugiurumn:ベズはホントにかっこいいよ。あんな生き方、誰もできない。

— さっきのリッチーにしても、やっぱりSugiurumnさんはパンクな人に惹かれるんですね。

Sugiurumn:そうだね。というか、今回の人は全員パンクだよ。ぶれてないし、長いものに巻かれてない。そういう一筋縄ではいかない人たちと、俺もこうやって一緒にできるようになったんだ。やっぱり音楽をずっと続けてる人って、どこかですごく頑固者なんだよね。

Sugiurumn

— 音を作ることにひたすら没頭できる人ですね。

Sugiurumn:そう。でも、俺は自分のレーベルでクラブトラックを毎週出す一方で、こういうポップなレコードも作ってるでしょ。それって片方だけを見たら普通のことだと思うんだよ。でも、それを両方やろうとしちゃうのが、自分のいいところでもあり、悪いところでもあると思うんだよね。

— どちらかをもっとストイックに突き詰めてやってもいいということですか。

Sugiurumn:うん。でも、やっぱりどっちも好きなんだよね。だって、俺も家でシリアスなダンスミュージックばかりを聴いているわけじゃないからさ。それこそJake BuggやThe XXみたいな最近のバンドも好きだし、石野卓球さんも電気グルーヴをやってるじゃない? その感じとか、すごくわかる気がするんだよね。

— 今回のアルバムで歌ってる曽我部恵一さんもそうですよね。過去にやってこなかったことを今どんどんやってる。

Sugiurumn:でも、それだって全部音楽だからね。映画監督をやって、本を書いて、それで音楽もっていう話じゃないから。それに俺、やっぱりリスナー体質だからさ。曽我部にしても卓球さんにしてもそうだよ。商売として音楽を始めたわけじゃなくて、もともと音楽が好きでやってるんだから。

残念なことに人生って1回しかないしさ。だからこそ、やりたいことは全部やりたいんだ。

— でも、そのSugiurumnさんが今年の『フジロック』ではJamie XX(The xxのメンバー)と卓球さんの間でプレイするんですから。卓球さんとは、『RISING SUN』でも一緒ですしね。

Sugiurumn:ホント、「お前、よくがんばったな」って話だよ(笑)。だって俺、バンドマンだったんだよ? だから、今年はある種の集大成になるのかもね。DJを始めた頃には思ってもいなかったようなことが、どんどん実現できてるからさ。自分がレーベルを始めたり、イビザでDJをできるようになるなんて、とても考えてなかったよ。何があるか本当にわからないよね。

Sugiurumn

— イビザでもプレイしている日本人DJが、それ以前にバンドでもデビューしてるって、すごくかっこいい話ですよ。

Sugiurumn:でも、日本人ってあんまりそういうところを評価しないでしょ(笑)。むしろディスられる(笑)。

— 「どうせにわかDJだろ」的な反応ですね(笑)。

Sugiurumn:そうなんだよー。ヨーロッパの人はそういうところを面白がってくれるんだけどね。でも、残念なことに人生って1回しかないしさ。もし生まれ変われたとしても、その前の人生のことなんて覚えてられないわけだし。だからこそ、やりたいことは全部やりたいんだ。それに、俺はやっぱり人に聴いてもらいたいから音楽を作ってるんだよね。それも、誰にでも聴いてほしいってわけでもなくて。うまく言えないけど。

— それこそ、自分みたいな人に届いてほしい、ということですか。

Sugiurumn:そうだね。よく言うじゃん? 「これがきっかけになれば」とか「ダンスミュージックの裾野を広げたい」って。そんな音楽なんか聴きたくないよ。自分はそんな中から見つけたことなんか一度もなかったから、こうやって自分の音楽のやり方を通した上で伝わらなかったら意味がないって思ってる。だから俺、完璧なアルバムができたらそれでもう終わりでいいやって、いつも思ってきたんだけど、実は今回、かなりいい線いっちゃってるんだよね(笑)。これが仮に最後だったとしても、悪くはない(笑)。

— いやいや(笑)。さっきはこれがデビュー盤だったらっておっしゃってたじゃないですか!

Sugiurumn:そうだった(笑)。うん、やっぱりこうやっていろんな人が関わってくれるアルバムは、また作りたくなるよね。自分以外のアイデアがたくさん入ってくるとやっぱり面白いんだ。でも、前作から6年かかったもんな。今から6年後を考えるとちょっと怖いな(笑)。

— 次はもっと早く聴かせてもらえるように願ってます(笑)。

Sugiurumn:そうだね(笑)。次のアイデアはもうあるからさ!

BRAND INFORMATION

Sugiurumn(すぎうらむ)

Sugiurumn(すぎうらむ)

世界最先端のハウスシーンと常にリンクする唯一無二の日本人DJ/プロデューサー。 2004年にリリースしたアルバム『Our History is made in the night』が日本のダンスシーンで大きく注目され、アルバムからシングルカットされた「Star Baby』が大ヒット。2006年に世界最高峰のクラブ、Pacha IbizaのミックスCDのDJに選ばれPachaのメインフロアで4,000人のクラウドをロック。Pachaから絶大な信頼を受け、それから3年連続で毎年Pacha IbizaのMix CDを手掛けている。 2007年、AVEXに移籍し『What time is summer of love?』をリリース。アルバムからのシングル「Travelling」は世界中のレーベルからライセンスのオファーが殺到。2013年4月シリアスなダンスミュージックを世界に発信するBASS WORKS RECORDINGSをスタートさせた。そして7月24日、ワーナーミュージックより、6年振りとなるオリジナルアルバムを『May The House Be With You』発売する。クラブミュージック、その先のビートはきっと彼が教えてくれるだろう。

OTHER FEATURES