SwimmyAnimalLabインタビュー 描き直しは一切なし。全てがオリジナルな動物の世界。

インタビュー・テキスト:中山夏美 撮影:野村由芽(2012/12/6)

実在する動物を独自の観点でビジュアル化した『SwimmyAnimalLab』。「ヘロヘロ」なタッチが生み出す、愛嬌のある世界観は、作者である吉水卓さんのキャラクターに因るところが大きいのかもしれません。ファインアート出身で「今でもデザインの知識はほとんど持ち合わせていない」と謙遜する吉水さんは、経験がなくてもまず「できる」と宣言することから始め、持ち前の行動力で次々とプロジェクトを実現させてきたアートディレクター。「高く評価されるよりもモテたいなって思ってます」と周囲を和ませるその笑顔の裏に、「誰からも受け入れられてもらえるものを作る」ための秘訣が隠されていました。

新しいものを身に付けるより、持っているものでやり遂げるのが僕のやり方です。

— 大学では、ファインアートを専攻されていたそうですが、デザイナーを目指したのはいつ頃からですか?

吉水:目指したというよりも、選択肢がそれしかなかったんですよ。大学も中退ですし、帰国してブラブラして過ごして、仕事もないまま歳ばっかりとってしまって。就職活動の応募を見ても、そのときの僕と合うものが全然ない。1回だけ就職試験に行ったんですけど、お洒落していかなきゃと思ってワインレッドのベルベットのジャケットに金のネクタイをして行っちゃって……(笑)。面接官が言っていることもよくわからないし、これは違うなって思ったんです。ただ、何かを作りたいっていう漠然とした想いはあって。手持ちの技術を考えたら、僕にはデザインしかないと思ったので会社を作りました。

SwimmyAnimalLab
吉水卓

— そこで、すぐ会社を立ち上げるという発想に結び付くのがすごいですよね。アーティストになることからデザイナーにシフトチェンジすることに抵抗はなかったんですか?

吉水:当時は、アーティストとデザイナーは、同じだと思っていたんですよ。その気持ちのままスライドしたから、最初はイライラしながらやっていたと思います。仕事もあまりなかったし、コネも技術もないから、とにかくクライアントに対して「できる」ってことをアピールしていました。仕事を始めて、アートディレクターっていう肩書きを覚えたので、やったこともないのに名刺に「アートディレクター」って書いて「アートディレクターなの?」って聞かれたら、「そうです!」って、自信たっぷりに名乗ってました(笑)。そしたら、アートディレクターの仕事しかこなくなりましたね。

— 言い切るところがすごいですね(笑)。デザインの勉強は、大学でされていたんですか?

吉水:デザインの技術は、今でも限りなくないに等しいです。パソコン上でできない技術は、アナログで解決しています。アニメーションも作っていますけど、音素材も自分の声で「ゴゴゴゴ」と効果音を出して、それをマイクで録音してるんです(笑)。デザインの制作も、新しい技術を身に付けるより、持っているものでやり遂げるのが僕のやり方です。自分が持っている技術を足し算、引き算、かけ算、割り算の4つを掛け合わせている感じですね。イメージは頭の中にあるから、そこに近づくまで持っている技術をフルに使って制作するんです。その努力は惜しみませんね。うちの会社は、メインの仕事をパートナーと二人でやっていますが、僕ができない部分は彼が補ってくれているので、すごく助かっています。

— 最初からパートナーの方と二人だったんですか?

吉水:最初は、一人でやってたんですけど、たまたま依頼された仕事がFlashを使ったウェブサイトの制作だったんですよ。当時、Flashなんて作れないのにクライアントに「やれます!」って言っちゃって(笑)。本で調べても理解できないから、高校のときの同級生に電話して「Flashできる?」って聞いたら「できるよ」って言われたので、1度仕事を頼んで、それがきっかけで会社に入ってもらいました。

— なぜ、二人でやろうと思ったんですか?

吉水:二人でFlashのやり方を勉強しながら、制作していくのが楽しかったんですよね。一人だと、作品ができたときに喜んでくれる人も、意見を言ってくれる人もいなくて、孤独じゃないですか。僕が作って、彼に見せる。彼が何かを言ってくれる。レスポンスがあるって、素直に嬉しいし、張り合いもありますよね。彼と僕は性格が真逆で、僕は文字のラインが合っていないこととかあまり気にならないんですけど、彼はそれを気にして直してくれたり、すごく細かい気配りができる人なんです。基本的に僕がアイデアを出して、制作したものの品質を彼が管理してくれています。僕が「困った!」ってときに、さりげなく力を貸してくれるので、仕事をしていく上で彼の存在はすごく大きいです。

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BRAND INFORMATION

吉水卓

吉水卓

1980年、神奈川県出身。Community College of Philadelphia卒業、Tyler School of Art休学。大学在学中は、ファインアートなどの総合美術を学ぶ。帰国後にデザイン会社「株式会社スイミーデザインラボ」を設立。
株式会社スイミーデザインラボ

株式会社スイミーデザインラボ

グラフィックデザイナー、webデザイナー、写真家、イラストレーターから成り立つクリエイターチーム。デザインとアートの概念に捕われず、それぞれの良さを融合させた作品を発表。オリジナリティーの高さに定評がある。今後、『SwimmyAnimalLab』の集大成として、独自の視点で動物を解釈した動物図鑑を発行予定。

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