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時代を牽引する25歳の写真家・奥山由之が語る写真と表現

「どんなに魅力あるコンセプトを掲げた写真集より、家族アルバムやスマホのなかの写真のほうが、写真らしいと感じてしまう瞬間がある」。そう語る奥山由之は、いま多方面から最も注目される写真家・映像作家の一人だ。弱冠20歳で、写真界の登竜門『写真新世紀』の優秀賞を受賞。誰の記憶の片隅にもあるような、日常の一コマにもかかわらず、見る人の詩的な感性を刺激するその独特の作風は、最新写真集『BACON ICE CREAM』でもいかんなく発揮され、第47回講談社出版文化賞写真賞を受賞している。一方、くるりやサカナクションのCDジャケットやPV、ファッション誌『GINZA』の誌面を通して、彼の存在を知った人もいるかもしれない。

まさに「気鋭」という呼び名にふさわしい活躍だが、インタビュー当日、目の前に現れたのは、シャイでありつつも冷静さを忘れない、そして表現に対する人一倍の愛情と信念を持った、一人の若者だった。多くの人を魅了しながら走り続ける彼の創作の原点、あるいは関心とは何なのか。写真表現と映像表現の違いから、クライアントワークへの臨み方、日々のなかでシャッターを切る瞬間のこと、SNS世代以降の映像に対する感受性の変化まで。いま、彼に聞きたいことを、すべてぶつけた。

インタビュー・テキスト:杉原環樹 撮影:田中一人 編集:康あん美

写真が持つ独自の奥ゆかしさに、表現としての色気を感じたんです。

— 今回、あらためて奥山さんの経歴を拝見して驚いたのですが、とんでもなく早熟だったんですね。中学時代にストップモーション・アニメーション制作をはじめ、高校時代からは映画制作を開始されている。そんな奥山さんが、10代の終わりに出会った写真というメディアと長く付き合うことになったのはなぜだったんですか?

奥山:写真と出会ったのは、映画の画コンテを描くために、中古の一眼レフを買ったのがはじまりでした。ロケ地の写真を撮って、それを模写するということをやっていて、そこで映像とは異なる写真の魅力が気になったんです。

— きっかけは映画制作だったんですね。

奥山:映像制作はいまでもやっていて、もちろんそれぞれの魅力はありますが、映画がセリフや音楽といったさまざまな要素を通して世界を描けるとすれば、写真は基本的に、そこに写っている画そのものでしか勝負できません。言ってみれば、映画が「点と点の間の線の表現」なのに対し、写真はまさに「点の表現」。多くを説明することのないその表現としての奥ゆかしさが、見せすぎないがゆえに色っぽくて魅力的に思えたんです。

— 写真表現の手数の少なさに惹かれたんですね。

奥山:写真は数ある表現のなかでも、見る人に委ねる部分が大きい表現だと思うんです。どんな状況に置かれるかで見え方が大きく変わってしまうし、撮影対象に託された意味も、被写体と撮影者の関係性も、見る人には断定できない。けれど、そうであるがゆえに、ときに「点の表現」としての爆発力を持つこともできます。意味や印象が、需要の仕方や文脈によって揺れ動くというその写真の性質は、いまも僕の大きな関心です。

奥山由之
奥山由之

— 新しい写真集『BACON ICE CREAM』にも感じたんですが、奥山さんの写真のスタイルは言葉で表現しにくいと思うんです。たとえば子どもだけを撮り続けたり、ある土地に取材し続けたりする写真家もいますが、奥山さんの写真集は日常の断片的な風景の連続で、「何を撮っている写真家である」とは説明しづらい。

奥山:それは今の僕が、はっきりとしたコンセプトを立てた上で写真を撮ることができないからだと思います。ある決まった規則に従って撮られたものの方が、見る側の人たちもきっと消化しやすい。けれど、どうしても規則性なく、いろいろ撮ってしまうんです。だから自分の琴線に触れたものをただただ撮っている日々なのですが、それは写真家ではない一般の人たちの世界への向き合い方や、写真の撮り方と同じなのかな、と。

— 写真家ではない、われわれの撮る写真と同じ。

奥山:みなさんが携帯に残したカメラロールと同じです。人はある場所にずっといるわけではないし、目の前の状況も自分もつねに変わっている。毎日、違うものが食べたくなるように、欲求や意識が変わるのは自然なことですよね。だから、事前に決めたルールに沿って「これを撮らなくては」となってしまうと、「写真」という目的が第一義に来てしまっていて、その人の温度感とか、感情が見えにくくなってしまう不安があります。もちろん、温度感や感情をあえて削ぎ落とした作品も、好きなものは多いです。ただ、今の僕には、その距離感の取り方ができない。

— でも、決まったスタイルを持たないことは、「写真家・奥山由之」のイメージの確立にとっては遠回りでは?

奥山:僕はむしろ、「こういう写真だから奥山の作品だ」と言語化されることに不安を感じています。僕自身は、つねに変化してしまいますから。そんな簡単に言い切られてしまうと、僕自身の変化を受け入れてもらえないのではないかな、そんなに分かりやすい感情の起伏の上で生きているのかな、と。そうではなくて、「一言では説明しにくいけれど、なんとなくこの人っぽい温度感がある」と感じてもらえるものの方が、結果として長く記憶に残っていくと思っています。だから、できる限り説明しにくい存在でありたい。それはすなわち、自分の言語化できないコアな部分を表現できているということにもつながると思うので。

奥山由之
奥山由之
奥山由之写真集 『BACON ICE CREAM』より

— 写真を通して撮影者の人となりが感じられる、それが重要なんですね。

奥山:撮影者と写真が密接な状態にあるものほど、僕には魅力的に感じられます。それは必ずしも、感情を注ぎ込めばいい、という話ではありません。その人となりがストレートに見えてくるものであることが大事だと思います。ただ、日々のなかであれ、お仕事であれ、写真を撮り続けていると、今度は技術や写真における筋肉がそれを邪魔し出す。みなさんがスマホで写真を撮るときに、「写真とは何か」なんて考えないですよね。ただ撮りたいから撮っているだけですよね。でも、不思議とそれができなくなるんです。そんななかで『BACON ICE CREAM』や、パルコミュージアムで行った展覧会は、この5年ほど写真を撮ってきた僕にとっての「写真とは何か」を問い直す機会でした。

— ひとつの節目となる写真集であり、展覧会だった、と。

奥山:写真集のベースとなったのは、日々のなかで自分の琴線に触れた瞬間の数々ですが、それら膨大な写真を半年間かけて絞り込んでいくなかで、自分がどうしてもシャッターを押してしまう瞬間には共通する「何か」があることに気づいたんです。それをあまり急いで言語化しないように気を付けながら、作り上げていきました。写真集として完成するまでは、自分でも分かり過ぎない方が余計な操作が入らず、「写真」を生の状態で差し出せるかなと。結局完成しても、その「何か」は分からなかったのですが。

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BRAND INFORMATION

奥山由之

奥山由之

1991 年生まれ。大学在学中の2011年に、第34 回写真新世紀優秀賞受賞。受賞作『Girl』が2012年に写真集として出版される。2016年、写真集『BACON ICE CREAM』が第47回講談社出版文化賞写真賞を受賞。私家版写真集に『THE NEW STORY』『march』がある。

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