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時代を牽引する25歳の写真家・奥山由之が語る写真と表現

半ば仕方なく写真に手を出した、というか、雑に言ってしまうと、溢れ流れる感情の当てつけみたいな感じでした。

— 冒頭におっしゃった写真の意味の揺れ動きに対する関心が、あらゆる活動に貫かれていることがわかりました。ところで中学時代に、自作のアニメーションを、渋谷のスクランブル交差点に面したQ-FRONTのスクリーンに流したそうですね(笑)。不特定多数の人に自分の作品を見てもらいたいという欲求が、このころからあったんですか?

奥山:あれは、スクリーンに流れている自作の映像を見て、少し怖くなった体験でした(笑)。せっかく作ったからと持ち込んだら、Q-FRONTビルのCMとして1日500回ほど流してもらえて……。ただ、いざ放映されているのを目にしたときに、1人で作ったものを大勢の人に晒して、まるで自分の裸を見せているような、申し訳ない気持ちになりました。

— 自分で持ち込んだのに(笑)。しかもその後、写真の登竜門的なアワード『写真新世紀』を20歳で受賞されている。積極的に作品を発表するその姿勢はどこから?

奥山:自分が写真を撮ったということは、何か言葉では説明できないものを写真で表現しようとしたということじゃないですか。その感覚を「わかる」と言ってくれる人が、どこかにいて欲しいと思っていたんです。当時の僕は、日々湧き上がる感情を向ける先が分からなくて、それを誰かに説明することもできなかった。そのとき、自分の感情にふと寄り添うように手馴染みよく感じたのが「説明しすぎない」写真だったんです。そこで、言葉に表せない感情をほどくために撮ったような作品を『写真新世紀』に送ったら、審査員だった写真家のHIROMIXさんに選んでいただけたんです。結果としてはその作品が最初の写真集『Girl』になったのですが、僕としては受賞よりも、誰か1人にでも自分の感じている気持ちが伝わって、心から救われた気持ちでした。

奥山由之
奥山由之写真集『Girl』より

— ああ、それはとても救われますね。

奥山:僕にとって「写真」の原点はその体験にあるので、半ば仕方なく写真に手を出したというか、雑に言ってしまうと、溢れ流れる感情への当てつけみたいな感じでした。だから今でも、感情が起点ではない自分の写真にはあまり魅力を感じないことが多いです。写真を撮ることが第一義に来ているものよりも、何かそこに起きた事象を体感しているのが第一義で、どうしても残しておきたいから撮るという第ニ義目の要素として写真があるものの方が強く見えます。「こんな作品を作れば認められる」というコンセプトを先に立てて、写真を撮りはじめる人もいると思います。でも、コンセプトが伝えたいことなら、演説のやり方を学んだほうがいいと僕は思ってしまいます。

— 最初からマーケティング的にふるまわないほうがいい、と。たしかに、10〜20代の人たちのSNSの使い方を見ていると、大量の情報のなかで自分を魅せることに慣れているなあ、と感じます。でも、そこで見失ってしまうこともあるのかな。

奥山:他人の欲望を自分の欲望だと思い込みやすい環境だとは思います。目の前の感情と大切に向き合いたくても、人の視線が嫌というほどに見えるし、求められているものも分かるから、無意識にそちらに寄せていってしまう。ひとつの物事と10年単位で付き合うのが難しい時代ですよね。僕はSNSが欲望の渦に見えてしまう瞬間に気持ち悪くなりますが、けれど、まったく違ったタイプの写真や映像が躊躇なく並んでいたり、つぎつぎ現れたりという感覚はけっこう好きです。

— というのは?

奥山:例えば、1990年代にハーモニー・コリン(アメリカの映画監督)が作った『ガンモ』。時間の流れや状況を互い違いに組み合わせたり、ドキュメンタリーとフィクションを混ぜ合わせたりしながらも、全体にのっぺりとした狂気性を一筋通わせて見事に成立させている作品ですよね。その「いろんな場面の高度な処理」は、スマホやパソコンの上で僕らが経験していることと近いのかな、と少し思うんです。

奥山由之

— 『GINZA』のつながりのないバラバラな写真が与える印象は、まさにそんな風でした。新しいメディア環境が、人の映像感覚にどんな変化を与えるかは、面白いテーマですね。

奥山:スマホひとつとっても、人はこれまでなかった感覚で、写真を感じていると思うんです。たとえば、写真集のページを一枚ずつめくる体験と、スマホの画面をタッチすると次の写真が現れる体験は、だいぶ違いますよね。僕の世代やそれより若い世代には、一枚の平面がそれだけで完結せず、平面の奥に平面が隠れているような、一種のレイヤー感覚があると思うんです。パルコミュージアムの展示は、その感覚を具現化できないかなと思って組み立てたもので、透明のアクリルの壁や鏡を使用して、空間上で何枚かの写真を重ね合わせたり、見る角度によって写真がトリミングされて見えたり、またひとつの写真の見え方もさまざまなフォーマットに落とし込むことで、「物」としての写真の感覚を得てもらうことにも挑戦しました。

— 写真が展示される空間に、パソコンやスマホなどデジタル機器のレイヤー感覚を落とし込んだわけですね。その方面での次の展開も楽しみなのですが、今後はどのような活動を考えられていますか?

奥山:この5年間くらいは、写真が持つ「点の表現」の強さを追求した時期でした。でもときには、「これが1点ではなく、2点あって、その間に線があったなら、こんなことも表現できたかもしれない」と思うことがよくあるんです。もともとは映像の世界から入ったことで「線を点で捉える」ことを目指して写真を撮るようになったのですが、いまは逆に「点で線を描く」、そんな思いで表現に向かっています。なので映像への興味が強いです。いずれにしても、人の心に長く残ってしまう「絶妙な違和感」を持ち続けられる人でありたいです。そして何よりも、楽しみたいです。作り手自身が楽しんでいないような表現に、誰が心を動かされるのだろう、と。これからも、苦しいくらいに、楽しみたいです。

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BRAND INFORMATION

奥山由之

奥山由之

1991 年生まれ。大学在学中の2011年に、第34 回写真新世紀優秀賞受賞。受賞作『Girl』が2012年に写真集として出版される。2016年、写真集『BACON ICE CREAM』が第47回講談社出版文化賞写真賞を受賞。私家版写真集に『THE NEW STORY』『march』がある。

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