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始まりは子供時代の記憶。20年間愛され続けてきた100%ORANGEの魅力とは

「『かわいい』という感情は、ときには『さみしい』や『かなしい』も含んでいる、とても複雑な感情なんです」。そう語るのは、及川賢治と竹内繭子の二人からなるイラストレーターのユニット「100%ORANGE」。その名前を知らない人はいても、新潮文庫のパンダのキャラクター「Yonda?」をはじめ、多くのポスターや商品パッケージ、書籍の装丁を彩る彼らのイラストを一度も目にしたことがないという人は、少ないだろう。

そんな「100%ORANGE」も、今年で結成20年。流行の移り変わりが激しいイラストの世界で、これほど長いあいだ人々に愛され続ける、その絵の魅力とは何なのか。

彼らはまた、『日本絵本賞大賞』を受賞するなど優れた絵本作家であり、謎の少年「砂尾スナオ」が活躍する人気マンガ『SUNAO SUNAO』を手がけるマンガ家でもある。今回は二人のアトリエを訪れ、結成のきっかけから、アイデアの生み出し方、さまざまな表現活動の根っこにある、その思想性までを尋ねた。そこに見えてきたのは、大人の求める物語性を超えて、ひたすら子どもと世界の関係を問い続ける、彼らの姿だった。

インタビュー・テキスト:杉原環樹 撮影:佐藤麻美 編集:康あん美

(ポストカードを)自分たちで「プリントごっこ」を使って印刷して雑貨屋で売ったら、すこしウケて、うれしかった。それで調子に乗ったんですね。(及川)

—今日はアトリエにお邪魔できてうれしいです。普段、この場所ではどんな一日を?

及川:朝ごはんを食べて、午前中にはこの部屋に来ていますね。それで、メールをチェックしたり、Twitterを見たりして、一日が終わっていく(笑)。というのは言い過ぎだけど、作業はもっぱら深夜です。昼は散歩したり、アイデア出ししたり。

—あの絵は夜に生まれているんですね。いまではイラストや絵本、マンガと、さまざまな表現で活動されるお二人ですが、そもそもの関心はどの辺りにあったのですか?

及川:僕は子ども時代、ずっとマンガ家になりたかったんですね。友達に落書きを見せて、笑ってもらうのが大好きだったから、絵の練習はほとんどマンガです。デザインに興味を持ったのは高校時代。絵が上手だった兄が美術大学に行ったことで、マンガ以外にも絵を描く道があるんだと気付いた。それで、『ヤングマガジン』なんかにマンガを投稿するのと並行して、美大の受験勉強を始めたんです。竹内と知り合ったのもそのころだね。

竹内:高校で同じクラスだったんです。

—お二人で活動を始めたのはいつごろでしょうか?

及川:大学3年のときに、時間があったので二人でポストカードを作ったのが最初かな。1996年くらいです。自分たちで「プリントごっこ」を使って印刷して雑貨屋で売ったら、すこしウケて、うれしかった。それで調子に乗ったんですね。

竹内:ウェブで販売できる時代じゃないし、一枚ずつ手刷りしていたので、すごく労力はかかりました。でも、1か月に二人で外食が1〜2回できるくらいには売れました。

100%ORANGE
初期の作品

—一点モノの絵ではなく、商品としての絵を描くことに興味があったんですか?

及川:そうです。複製されることの楽しさというのかなあ。「100%ORANGE」というユニット名も、会社の名前みたいなイメージで付けたものだったんですよ。あと、お客さんの反応もすごく感じましたね。「絵柄によって売れ行きがけっこう違うなあ」とか。

—受け手の反応を分析していた、と。それらのポストカードを見ると、当時からいまにつながるような作風ですよね。このスタイルはどのようにできたのでしょうか?

及川:いまもそうですけど、古い時代の広告とかマンガが好きなんです。たとえば、日本のレトロな広告とか、レイモン・サヴィニャックやエルヴェ・モルバンのような戦後のフランスの広告とか。あの時代のポスターは良いんですよ。大らかな広告の時代とでもいうのか、単純でわかりやすい雰囲気が好きで、影響を受けました。

竹内:そうした絵には、印刷技術が発達していないからこその面白さもあったんです。色数が制限されていたり、版画的な生っぽい質感だったり。それは参考にしましたね。

100%ORANGE
アトリエ風景

—同じ1990年代に流行った「渋谷系」のCDジャケットにも、レトロさを感じさせるものが多いですよね。それまでは、普通に新品=良いという価値観だったと思うんですけど、90年代になると古いものが逆に新しい、みたいな空気があったんですか?

及川:それはありました。おしゃれなものが苦手だったので、渋谷系の音楽自体はそれほど聴いていなかったんだけど(笑)、時代の空気は共有していたと思います。

竹内:レトロなことをやり始めた世代なのかもしれませんね。「懐かしかわいい」みたいな。

及川:そんな時代性もあって、さっきのポストカードが宣伝になり、イラストや広告の仕事が来るようになったんです。一応、大学卒業後は就職をしたんですけど、しばらくしてイラストレーターとして独立しました。

—それで、98年から「Yonda?」のイラストをやられる、と。この「Yonda?」も含めて、お二人の作品には「かわいい」という反応が多いと思います。ただ、多くの人がそれに惹かれるのは、「かわいい」以外の要素もあるからだと感じるのですが。

及川:「かわいいって何だろう」ということは、いつも考えてきました。活動する中でわかったのは、「かわいいは複雑なんだ」ということ。たとえば、「かわいい」という大きな円グラフがあるとしたら、そこには「かなしい」とか「さみしい」とか「こわい」といった要素も含まれていると思うんです。ただ「かわいい」があるんじゃなくて、すこしだけそれとは反対に見える要素も入っている。計算してやっているわけじゃないけど、できあがった絵を見ていろいろと考えると、そういうものなのかなあと。

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BRAND INFORMATION

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イラストレーター。及川賢治、竹内繭子の二人組。イラストレーション、絵本、漫画、アニメーションなどを制作している。イラストレーションに「新潮文庫 Yonda?」(新潮社)絵本に『ぶぅさんのブー』(福音館書店)、『思いつき大百科辞典』(学研)『ひとりごと絵本』(リトルモア)、漫画に『SUNAO SUNAO』(平凡社)などがある。『よしおくんが ぎゅうにゅうを こぼしてしまった おはなし』(岩崎書店)で第13回日本絵本賞大賞を受賞。

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