neco眠るインタビュー なぜ彼らのダンスミュージックは老若男女を動かす?

6年ぶりの新作完成、活動休止を選んだ理由と発展を遂げた現在を語る

インタビュー・テキスト:三宅正一 撮影:矢島由佳子(2014/12/16)

そのサウンドを浴びれば老若男女が踊れて、笑えて、不意に涙腺を刺激させられたりもする大阪発のインストバンド、neco眠るが実に6年ぶりとなるニューアルバム『BOY』をリリースした。2010年末に前ドラマーが脱退し、活動休止期間に入ったバンドは今作の制作に至るまでどんな時間を過ごしていたのだろうか。そもそも、ありとあらゆるジャンルのおいしいところをつまみ食いしながら、誰の模倣でもない方法論で煮詰め、その果てに開放的な土着性と大衆性を放つこの音楽像のバックグラウンドには何があるのだろうか。最古参メンバーである森雄大と、今作でメインコンポーザーを務めたBIOMAN、栗原ペダルの三人に話を訊いた。


活動休止直前は妙に責任感を持ってしまって、気負った感じになってたんですよね。作品をリリースしてフェスに出るっていう活動のレールに乗るのもしんどくなってきて。(森)

— アルバム『BOY』、とても楽しく聴かせてもらいました。後半3曲はホロッとさせられましたけど。

BIOMAN(Syn,Per):ああ、わかります(笑)。

— あらためて、ここまで大きく日本の大衆音楽と一線を画しながら、ものすごく大衆的であるという音楽像は特別だなと思いました。

BIOMAN:自分たちも普段からそのバランス感覚は大事にしていて。でも、最近の東京のインディーシーンにいるバンドを見ても、自分が鳴らしたい音楽を追求しつつ、かつリスナーのこともちゃんと意識している、というのが潮流だと感じます。

neco眠る
BIOMAN(Syn,Per)

— ただ、neco眠るの場合はホントに誰にも似てないじゃないですか。

BIOMAN:うん、そうですね。誰にも似てないけど、聴いてみると楽しい。そう思ってもらえたらいいですね。

— そもそもなんでこういう音楽像になるんだと思いますか?

栗原ペダル(Gt):自分たちが普段聴いてる音楽が、ポピュラーなものではないからじゃないですかね。その影響もありつつ、ポップなところにアプローチできる境目を狙うのが楽しい。

neco眠る
栗原ペダル(Gt)

— neco眠るにある大衆性というのは、コーティングされていない生々しい生活感であり、そこから派生する人間然とした匂いだったりすると思うんですよね。

BIOMAN:ああ、そうですね。音楽的な趣味はマニアックなんですけど、普段の生活自体はポップというか、ごく普通の暮らしをしているので。それがそのまま反映されてるとは思いますね。

森雄大(Gt):うん、普通!

— だから、とても人懐っこい。

森:そういう音楽でありたいなとは思いますね。

— このバンドはメンバーの入れ替わりが激しくて、今ではバンドを立ち上げた人はもういないんですよね。

森:そうなんです。最初は地元の同級生で結成して。僕と前のドラマーの岡本(右左無)くんが一番古いメンバーだったんですけど、2010年末に彼が脱退して僕が最古参になりましたね。

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森雄大(Gt)

— 結成当初のサウンドはダブポップに寄っていて、ボーカリストもいたそうですね。

森:そう。それからどんどんメンバーが抜けていって、そのときどきのバンドの状態でやれることをやってきたんです。「他のバンドとは何か違うことができないか」って常に考えまくって、それでも「わからん!」って力が抜けたときに出た屁みたいなのが、今のneco眠るの始まりですね。

— 煮詰まった末に出た屁というか(笑)。

森:はい(笑)。

— これだけメンバーの出入りがあるなかで、森さんがneco眠るを解散させなかった理由は何だったんですか?

森:何やろう?

BIOMAN:そもそも気負いがないから。

森:でも、変に気負ったときもあるよ。

— 4年前に活動休止したことも、気負ってしまったことが原因?

森:そうですね。僕も最初は友だちに誘われてこのバンドに入ったのに、だんだん僕が曲を作ることになっていって。いつの間にか僕がバンドの中心になってバンドが動くようになったんですよね。それでも、どこか人ごとに思えるというか、外から見てる感覚あって。

— 言わばneco眠るは、中心メンバーを必要としないバンドなのかなと。

森:そうですね。僕も曲は作っていたけど、特に前に出るような中心の存在ではなかったかな。でも、活動休止直前は妙に責任感を持ってしまって、気負った感じになってたんですよね。普段はみんな別の仕事もしてるし、なかなか活動のペースが掴めないなか、作品をリリースしてフェスに出るっていう活動のレールに乗るのもしんどくなってきて。

— バンドのあり方としてルーティーンな活動を最も嫌うはずなのに、いつの間にかそこに乗っかっていたという。

森:そう。そんなときに岡本くんに抜けるって言われて、活動休止を決めたんです。僕はそのタイミングでDODDODOと石井モタコ(オシリペンペンズ)とレーベル(こんがりおんがく)を始めていたし、AUTORA(山本アキヲ+speedometer.)っていうユニットにも誘われて参加していて。自分のことじゃなくて、友達とか人のことを手伝う方が楽しいというか……。「neco眠るのことはもうええわ」って感じになってたんですよね。

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neco眠る(ねこねむる)

neco眠る(ねこねむる)

2003年結成。 様々な音楽、場所、食べ物等に影響を受け、マイペースに独自の形を模索していく中、ライブハウス/クラブ/盆踊り会場/老人ホーム/野外フェスティバル等、多種多様な場でのライブを中心に様々な活動を行う。2010年末ドラマー脱退に伴いライブ活動休止。2012年秋より森雄大、NEGURA、伊藤コーポレーション(株)、BIOMAN、栗原ペダル、三木章弘の6人編成でライブ活動を再開。メンバーはそれぞれDON29、BIOMAN、AUTORA、NEW MANUKE、おみこしボーイズ、ボーイズヤング等ソロや別バンド、DJやサラリーマン、農家としても活動。2013年、活動再開後初の音源となる12インチシングル『BOY / お茶』をカクバリズム×こんがりおんがくよりリリース。2014年11月26日、6年ぶりとなる2ndフルアルバム『BOY』をこんがりおんがくよりリリース。また同日1stアルバム『ENGAWA BOYS PENTATONIC PUNK』ミニアルバム『EVEN KICK SOYSAUCE』をカクバリズムより再発リリース。

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